広島県道425号梶田三良坂線

広島県道425号梶田三良坂線

広島県道425号梶田三良坂線（ひろしまけんどう425ごう かじたみらさかせん）は、広島県三次市内を通過する一般県道として指定されています。この路線は、三次市甲奴町梶田を起点とし、三次市吉舎町知和を終点とする道路で、その総延長は12.93キロメートルに及びます。

この県道の名称は、その歴史的経緯を示唆しています。本来の路線の終点は三次市三良坂町棗原であったと記録されています。しかし、地域に重要な変化をもたらした灰塚ダムの建設事業に伴い、周辺道路の整備やルートの変更が行われました。この付け替えにより、路線の実際の終点は三次市吉舎町知和へと移されました。一般的に、このような終点の変更が行われた場合、路線の名称も改称されることが多いですが、広島県道425号線に関しては、かつての終点地であった「三良坂」の名を冠したまま、現在もなお改称が行われていません。これは、他のいくつかの県道で終点変更に伴う名称改称が実施されている事例と比較すると、特異な状況と言えます。

路線の通行状況は、起終点の間で顕著な違いが見られます。起点の三次市甲奴町梶田から、三次市吉舎町安田に至る前半部分では、JR西日本の福塩線や、江の川水系に属する上下川に寄り添うように進んでいきます。この区間は、地形上の制約から道路の幅が狭く、車両がすれ違う際に十分な注意が必要となる場所が少なくありません。

これに対し、三次市吉舎町安田から終点の三次市吉舎町知和までの後半部分では、灰塚ダムの建設事業に関連して大規模な道路の付け替えや改良工事が実施されました。この改良工事によって、道路の線形は straightened され、幅員も十分に確保された新しい道路へと生まれ変わっています。そのため、前半区間と比較して、より円滑で安全な通行が可能となっています。また、路線上には重複区間も存在し、三次市吉舎町安田地区において、短いながらも広島県道426号太郎丸吉舎線と同一の経路をたどる部分があります。

地理的には、広島県道425号線は、全線が広島県三次市内を通過しており、他の自治体には跨がっていません。主要な接続道路として、起点の三次市甲奴町梶田では広島県道27号吉舎油木線と交差しています。また、終点の三次市吉舎町知和では、周辺地域を結ぶ主要地方道である広島県道78号三良坂総領線に接続しており、この道路を経由して広域へのアクセスが可能となっています。

沿線には、この県道と並行して走るJR福塩線があります。特に、梶田駅や備後安田駅といった駅は、県道から比較的容易にアクセスできる場所に位置しており、地域住民の鉄道利用を支える役割も担っています。また、この路線の付け替えに大きく関わった灰塚ダムは、後半区間の沿線に位置しており、ダム湖の周辺を走行する際には、その景観を眺めることができます。

広島県道425号梶田三良坂線は、その短い距離の中に、古い時代の狭隘な道と、大規模開発によって整備された新しい道が混在しており、さらに終点の変更にもかかわらず名称が据え置かれた歴史的背景を持つなど、地域開発の過程を反映した特徴的な一般県道と言えるでしょう。

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