広島県道47号鞆松永線

広島県道47号鞆松永線は、広島県福山市南部の歴史ある港町・鞆地区から、西部に位置する松永地区までを結ぶ主要地方道です。この路線は、福山市内の沿岸部を東西に横断し、地域の日常生活や産業活動、さらには観光の振興において重要な役割を担っています。

路線概要

本路線の起点は、福山市鞆町鞆にある鞆支所前交差点で、広島県道22号福山鞆線に接続しています。そこから美しい海岸線に沿うように西へ進み、沼隈半島を縦断あるいは迂回しながら、福山市今津町4丁目の今津町3丁目交差点が終点となります。終点では、国道2号（広島県道54号福山尾道線重複）および広島県道48号府中松永線と交差しており、広域的な交通網へのアクセスも確保されています。

歴史

この道路は、1960年10月10日に一般県道として「広島県道53号鞆松永線」の名称で認定されました。その後、1966年5月1日には、福山市と松永市が合併して新たな福山市が発足したことに伴い、終点の地名表記が「福山市今津町」に変更されました。さらに、1972年11月1日には広島県の県道番号改正により、「広島県道180号鞆松永線」と番号が変更されます。道路の重要性が高まるにつれて、1976年4月1日には建設省（現在の国土交通省）によって主要地方道に指定され、1993年 5月11日にも再び主要地方道として再指定されました。2005年2月1日には、沼隈郡沼隈町が福山市に編入されたことで、路線の全区間が福山市域を通る形となりました。近年も道路整備が進められており、2010年3月25日には、福山市松永町においてJR山陽本線をまたぐ新しい跨線橋が開通し、これに伴い終点の位置が現在の場所へ変更されています。また、長年の課題であった鞆町内の交通円滑化を図るため、2025年3月30日には鞆未来トンネルが開通し、地域の交通環境が大きく改善されました。

路線状況

起点付近の鞆町内には、時間帯によって松永方面から鞆方面への一方通行規制区間が存在します。また、鞆町内の特に古い市街地では道幅が狭い場所が多く、大型車両が通行するには困難な区間があります。かつては、この狭隘区間を解消するため、市街地を海上で迂回する大規模な埋立て・架橋計画が立てられましたが、景観保護などの観点から住民の強い反対運動が起こり、計画は頓挫しました（詳細は鞆の浦埋立て架橋計画問題として知られています）。この問題を経て、近年では市街地地下を通過するトンネルによる整備が進められ、鞆未来トンネルとして実現しました。路線の途中には、阿伏兎観音近くを通過する阿伏兎トンネルなど、いくつかのトンネルが存在します。

地理および沿線情報

この県道は、その全線が広島県福山市内に位置しています。沿線には、国の名勝にも指定されている鞆の浦をはじめ、室浜海水浴場、断崖に建つ阿伏兎観音（磐台寺）、レジャー施設の「みろくの里」、松永地域特産の履物文化を紹介する松永はきもの資料館など、福山市を代表する観光地や文化施設が点在しています。また、福山市役所鞆支所、福山市沼隈支所・沼隈図書館、JR山陽本線松永駅、福山市西部市民センター（松永支所、公民館、図書館などを集約）といった公共施設も沿線またはその近隣に位置しており、地域の生活を支えるアクセス路としての役割も大きいです。多くの県道と交差しており、地域内の各方面への連絡を担っています。歴史的には、江戸時代に整備された「鞆津往来」という旧街道と並行する区間もあり、古くからこの地域を結ぶ重要な道であったことがうかがえます。路線の途中、沼隈地域では道の駅アリストぬまくまへのアクセスも可能です。

主要な交差道路としては、起点の広島県道22号福山鞆線、広島県道251号後山公園洗谷線（福山グリーンライン）、広島県道53号沼隈横田港線、広島県道389号草深古市松永線（2ヶ所）、広島県道72号福山沼隈線、広島県道382号熊野松永線、そして終点の国道2号、広島県道54号福山尾道線、広島県道48号府中松永線などがあります。

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