広島電鉄皆実線

広島電鉄皆実線：広島の街を繋ぐ歴史と未来

広島電鉄皆実線は、広島市南区を走る軌道路線です。第二次世界大戦中、広島駅と軍港であった宇品港間の輸送力強化を目的として建設されました。その歴史は、宮島線の単線化によって捻出された線路を用いた建設から始まります。紙屋町や八丁堀といった中心市街地を経由せず、比治山通りと宇品通りを通り、京橋川沿いをショートカットするルートが特徴的です。

現在、正式名称である「皆実線」として案内されていますが、かつては「比治山線」と呼ばれていました。そのため、現在でも電車の行き先表示は「比治山下経由」と表示され、電停番号の頭文字もHを使用するなど、その歴史の名残が色濃く残っています。

運行形態と車両

皆実線では、広島駅と広島港（宇品）を結ぶ5号線のみが運行されています。全列車が本線および宇品線と直通運転しており、早朝や深夜の一部列車を除き、宇品二丁目での折り返し運転はありません。

広島駅と広島港の電停では、紙屋町を経由しない皆実線と、紙屋町を経由する他の路線とで乗車ホームが分けられています。また、的場町電停と皆実町六丁目電停も方向別ホームとなっており、乗換の利便性が考慮されています。広島駅から宇品線方面へのアクセスは、紙屋町を経由する1号線よりも所要時間が短いため、皆実線は単独路線ながら重要な役割を担っています。

運行車両は、日中は主に700形、800形、1000形の単行車両が使用されますが、平日の朝夕ラッシュ時には連接車両も多数運行されます。2014年には超低床車両1000形が導入され、日中帯でも全線で超低床車両による運行が実現しました。以前は、平日の朝ラッシュ時のみ5100形が運用されるのみでした。

連接車両の導入は1998年から本格化しましたが、それ以前には元ドルトムント市電の70形が運用された時期もありました。3950形の導入に伴い、宮島線から余剰となった3000形5編成が皆実線に転入しました。

歴史

皆実線の歴史を簡単に振り返ってみましょう。

1944年12月27日: 的場町～皆実町三丁目（現在の皆実町六丁目）間が開業しました。
1945年8月6日: 広島への原子爆弾投下により被災しました。
1948年7月1日: 運行を再開しました。
1971年12月20日: 5号線が朝ラッシュ時を除いてワンマン運転を開始しました。
1975年4月30日: 5号線が終日ワンマン運転を開始しました。
1982年1月30日: 的場町電停に渡り線が設置されました。
1994年: ラッシュ時の輸送力増強のため、宮島線から転入した元ドルトムント市電70形1編成が投入されました。
1998年: 平日朝ラッシュ時に連接車両の本格的な投入が始まり、宮島線から3000形5編成が転入しました。
2002年5月1日: 平日夕方ラッシュ時の広島駅行きに連接車両2便が投入されました。
2004年11月16日: ダイヤ改正により、広島駅発の最終便が宇品二丁目止めから皆実町六丁目止めに変更されました。
2011年: 数回のダイヤ改正が行われ、日中帯の運行形態が変更されました。
2014年2月1日: 超低床車両1000形2編成が導入されました。

電停と今後の予定

皆実線の全電停は広島市南区に所在し、的場町電停と皆実町六丁目電停は乗換指定電停となっています。

2014年には、広島市が広島駅南口広場の再整備計画を発表しました。この計画では、皆実線のルート変更も検討されており、広島駅周辺の新たなルートと、環状運転案も示されています。広島市と広島電鉄の間で詳細な協議が行われています。

皆実線は、戦後復興の歴史を刻み、現在も広島市民の生活を支える重要な路線です。今後の発展にも注目が集まります。

もう一度検索