広徳ロケット発射場

広徳ロケット発射場（こうとくロケットはっしゃじょう）は、中国安徽省（あんきしょう）宣城市（せんじょうし）広徳市（こうとくし）誓節鎮（せいせつちん）誓節渡（せいせつど）に位置する弾道飛行用ロケットの発射場です。中国科学院によって運営されており、603基地としても知られています。この発射場は、四方を山に囲まれた場所に位置しており、交通の便が良いとは言えません。しかし、以前使用されていた南匯（なんかい、上海市近郊）の発射場と比較して、より制限が少ないことから、この地が選ばれました。

歴史

広徳ロケット発射場の建設は、1960年3月に581局の指示のもとで開始されました。建設は非常に迅速に進められ、気象観測所、レーダー施設、コントロール・トラッキング基地、ローンチパッド、整備塔、推進燃料貯蔵庫、推進テスト施設、そして居住区など、発射場に必要なすべての施設が、わずか6ヶ月以内に完成しました。これは当時の中国における技術力と建設能力の高さを物語っています。

発射センターの運営は、当初、中国科学院地質・地球物理学研究所が担当していましたが、1960年6月には上海市機電設計研究院に引き継がれました。その後、1963年には国防部第五研究院が最終的な運営主体となりました。このように、発射場の運営主体は短期間のうちに何度か変更されました。

1960年から1966年の間には、観測ロケットであるT-7とT-7Aが数回にわたって打ち上げられました。これらのロケットは、様々な科学観測ミッションに利用されました。特に注目すべきは、1964年7月19日に行われたT-7A/S1による生物学実験飛行です。この実験では、8匹のシロネズミがロケットに搭載されて打ち上げられ、その後無事に回収されました。これは、中国初の生物学実験飛行の成功例として記録されています。

広徳ロケット発射場での最後の打ち上げは、1966年7月28日に行われた、イヌを乗せたT-7A/S2の打ち上げであるとされています。その後、発射場は閉鎖されたのか、別の用途に転用されたのかは明らかになっていません。

広徳ロケット発射場は、中国の宇宙開発初期における重要な役割を果たしました。この発射場での経験は、後の中国の宇宙開発の発展に大きく貢献したと考えられます。

参考文献

Encyclopedia Astronautica: Shijiedu

関連項目

中国の宇宙開発

外部リンク

* Shijiedu - Encyclopedia Astronautica

もう一度検索