広村 (広島県)

広村（ひろむら）

広村は、かつて広島県賀茂郡に属していた村であり、現在の呉市広地区にあたります。ここでは、広村の歴史、災害、村名の由来、産業について詳しく解説します。

歴史

1889年（明治22年）4月1日の町村制施行により、賀茂郡広村として村制を施行し、広村が発足しました。しかし、1941年（昭和16年）4月21日には、賀茂郡仁方町とともに呉市に編入され、広村はその歴史を閉じました。

災害

広村は、過去にいくつかの自然災害に見舞われています。

1884年（明治17年）の高潮被害: 台風接近に伴う高潮により、広村一帯が著しい被害を受けました。翌年には、高潮の被害を後世に伝えるため、末広橋付近に「膺懲碑（ようちょうひ）」が有志によって建立されました。この碑は、2020年に広市民センター敷地内に修復の上で移設されています。
1967年（昭和42年）の集中豪雨: 津久茂で集中豪雨による山崩れが発生し、9戸が倒壊、死者・行方不明者は21人に及びました。

村名の由来

広村の村名の由来には諸説あります。

地形説: 広地区は埋立地であり、大昔は大きな入り江でした。入り江の干潮線は辺りの山々の裾にまで達しており、広々とした海湾を称して「ひろ」と名付け、「広」の漢字を当てたという説です。
干潟説: 「ひろ」は入り江状態の湾でしたが、潮が引くと辺り一面干潟となり、広々とした砂浜が現れたため「広」となったという説もあります。

産業

広村では、農業と鉱業が主な産業でした。

農業

『大日本篤農家名鑑』によれば、広村の篤農家として、藤田譲夫、石藤薫一、檜垣照吉、大洲敏などの名前が挙げられています。また、西本万助は広村の大地主でした。

鉱業

文政年間（1827年～）から白岳山一帯で石灰岩の採掘が開始されました。当時、石灰窯で加工した石灰を農地へ投入することで作物の収穫量が増加することが見いだされ、肥料の一種として利用が増加しました。1904年以降は、村有林内の採掘権を企業に譲渡することで、村に収入がもたらされました。

参考文献

佐古豊次郎編『広島県下役員録』広島独立通信社、1909年。
大日本篤農家名鑑編纂所編『大日本篤農家名鑑』大日本篤農家名鑑編纂所、1910年。
『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。

関連項目

広海軍工廠
* 広島県の廃止市町村一覧

もう一度検索