広田順

広田順 - 日本プロ野球の伝説の捕手

広田順（ひろたじゅん、1925年8月3日 - 2003年9月10日）は、アメリカハワイ準州オアフ島ホノルルから来日し、日本プロ野球で輝かしいキャリアを築いた捕手です。元プロ野球選手としてだけでなく、コーチや監督としても活躍し、多くの野球ファンに愛されました。ハワイ生まれの日系二世である彼は、愛称「カーリー」と親しまれました。

経歴

広田は、マッキンレー高校からハワイ大学を経て、ノンプロチーム「ハワイ朝日軍」でキャッチャーとして活動していました。1952年、日系の先輩選手である与那嶺要の勧めにより、27歳で日本に渡り読売ジャイアンツに入団します。入団当初は髪が真っ白だったため、実際の年齢よりも若く見られ、チームメイトからは「キューリー」とも呼ばれました。

広田は入団1年目から79試合に出場し、正捕手の座を獲得。オールスターゲームにも出場し、さらに3年間連続でベストナインに選ばれるなど、その実力を証明しました。しかし、若手選手の台頭やパフォーマンスの変化により、次第に出場機会が減少し、1956年をもって現役を引退しました。キャリアを通じて423試合に出場し、これは外国人選手としてはNPB最多記録となっています。

引退後はハワイに戻り、アマチュア野球の指導を行いながら、近鉄バファローズにスカウトとして参加。1971年から1972年にかけては二軍監督、1973年には一軍バッテリーコーチとしても顔を見せました。

広田は、2003年にホノルル郊外の老人ホームで老衰により亡くなりました。享年78歳でした。

選手としての特徴

広田の投手への送球は特徴的で、低い弾道で二塁へ送球するため、捕手としての才能が際立っていました。その強肩により、相手は低い姿勢を取らなければならないほどでした。あるオールスターゲームでは、別所毅彦が風圧に苦しむ様子が語られるほど、広田の送球は威力がありました。

また、彼はワンバウンドでの投球でも身を挺して身体で止め、ほとんど逸らすことがありませんでした。その結果、上半身には無数の青あざができ、指の変形も避けられませんでした。ファウルチップを取り損ねたこともあり、やむを得ず自力で指を元に戻す強靭さがありました。そのような厳しい状況下でも、彼は軽快にプレーし続け、入団直後にはファウルボールを追いかけてベンチに倒れ込みましたが、大きな怪我はありませんでした。

広田は、ピンチでも決して逃げることはなく、相手打者の観察を怠らず、巧みにリードする選手でした。そのため、彼の実力は別所や藤本ら剛球投手たちにも認められていました。

主な成績と受賞歴

広田は選手時代、以下のような業績を残しました。

• - ベストナイン: 3回（捕手部門: 1953年 - 1955年）
• - オールスターゲーム出場: 4回（1952年 - 1955年）
• - 背番号: 6（1952年 - 1956年）、30（1971年）、60（1972年 - 1973年）

そのプレーや指導力は、今もなお日本の野球界に影響を与え続けています。広田順の卓越した野球人生は、多くの選手やファンにとってのインスピレーションとなることでしょう。

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