広祥院

広祥院（こうしょういん）

広祥院は、愛知県岡崎市桜形町に位置する曹洞宗の寺院であり、深恩山という山号を冠しています。この寺院は、その歴史の中で、武士との深い繋がりを持ち、地域社会にも貢献してきました。

歴史

広祥院の起源は、寺伝によれば暦応2年（1339年）に遡ります。足利尊氏の命を受けた高師氏が、三河国日近郷に八幡社と共に深恩院總持寺という真言宗の寺院を建立したのが始まりとされています。しかし、延文年間（1356年 - 1360年）に深恩院と總持寺は分離されることとなり、本尊なども總持寺に移され、現在の岡崎の地へと移転しました。その結果、日近郷に残された深恩院は徐々に衰退していきました。

文明年間（1469年 - 1487年）に入ると、作手の川尻城から日近の名之内城へと奥平貞昌が移ってきました。彼は、加茂郡の梁山妙昌寺・華岳融に帰依し、深恩院の跡地に伽藍を建立し、曹洞宗の寺として再建しました。この際、旧名から山号である深恩山が取られ、当初は貞昌の持仏であった延命地蔵菩薩を本尊としました。この延命地蔵菩薩は、現在の本尊に胎内仏として収められており、旧額田町の指定文化財として大切にされてきました。岡崎市への合併に伴い、現在は市文化財としてその価値が認められています。

広祥院の裏手には、日近城の跡地や奥平家臣の墓が存在しており、この寺院が武士との関係が非常に深いものであったことを物語っています。また、明治初期には、桜形学校（現在の形埜小学校）の仮校舎として、広祥院の法堂が使用されていた時期もあり、地域社会における役割も担っていました。

広祥院は、その長い歴史の中で、真言宗から曹洞宗へと宗派を変え、戦国時代の武将との関わりを経て、地域社会の教育にも貢献するなど、多様な役割を果たしてきた寺院です。その存在は、岡崎市の歴史と文化を語る上で欠かせないものとなっています。

所在地

愛知県岡崎市桜形町

参考文献

『額田町史』額田町史編集委員会、1986年11月1日
平松七郎・夏山史料保存会 編著 『奥平氏と額田』 額田町教育委員会、2005年

関連項目

岡崎市
額田町
形埜村
曹洞宗
* 岡崎市立形埜小学校

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