奥平氏

奥平氏の歴史と出自

奥平氏（おくだいらし）は、日本の歴史において重要な役割を果たした武家・華族である。彼らの発祥は、戦国時代に三河南設楽北東部の地域、現在の愛知県新城市作手地方に見られる。初めは今川氏に仕官し、その後、徳川氏に仕えることとなった。江戸時代には、奥平氏は10万石の譜代大名として地位を確立し、豊前国中津藩主として名を馳せた。明治維新後には、華族の伯爵家へと昇進している。

出自

奥平氏の出自には複数の説があるが、一般的には今川氏や織田氏、松平氏、武田氏を介して、最終的に徳川氏に臣従したとされている。彼らは村上源氏の後裔を自称し、名乗りを赤松氏系の一族としていたとする研究も存在する。また、丈部姓の有道氏流の児玉氏を起源とする見解もあり、さらには家伝において上野国が発祥地という説も伝えられている。上野国の土地を放棄し、三河国へと移り住んだとされる。

奥平家の歴史

奥平氏の本格的な歴史の幕は、奥平定能の時代に開かれる。この時期、元亀年間（1570年 - 1573年）に家運が盛り上がり、特に天正3年の長篠の戦いでの勝利が彼らの名声を高める。奥平信昌（貞昌）は定能の長男であり、徳川家康の長女・亀姫の婿となる。信昌は家康の外孫として高く評価され、上野国甘楽郡小幡に3万石を与えられ、その後、美濃国加納にて10万石を領有することとなった。

江戸時代においては、奥平家は宇都宮に10万石を持ち、後に豊前国中津に移されるが、藩は明治4年（1871年）に廃藩置県まで存続する。信昌の後、奥平昌邁の代に入ると、彼は1869年の版籍奉還において華族に列する。さらに、1884年には華族令により伯爵家へと昇格した。

2代伯爵の奥平昌恭は、貴族院の伯爵議員に選出され、実業家としても多くの団体で活躍した。彼の邸宅は昭和前期には東京市芝区高輪南町に所在した。

奥平松平家

信昌の末の松平忠明は、家康の外孫であり、松平姓を許されたことから奥平松平家を興す。彼は三河作手藩の初代藩主となったが、忠明がその後伊勢亀山藩に転封されたため、作手藩は廃藩となる。忠明の子孫たちも、転封を繰り返しながら摂津大坂藩、大和郡山藩、播磨姫路藩主となった。

彼の息子である松平忠弘もまた、転封に従事し、最終的には武蔵忍藩主として明治時代を迎える。幕末の藩主松平忠敬は、華族にも加わる。

七族五老

奥平氏が三州に転住した後、家の重臣たちに従う形で7つの有力家系が深い関係を結ぶことになった。これらの家は独立させることなく、家の一体性を維持するために厚遇され、奥平氏の重臣家となった。七族五老と呼ばれるこれらの家系は、奥平氏の重臣として活動し、家の繁栄を支えた。

このように、奥平氏は日本の歴史において、武家や華族としての重要性を持ち続け、多くの家系が彼らの影響を受けて成長していった。

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