庄司甚右衛門

庄司甚右衛門（しょうじ じんえもん）は、天正3年（1575年）に生まれ、寛永21年11月18日（1644年12月17日）に没した、江戸時代前期の町人です。幼名は甚内といい、吉原遊郭の創設者としてその名を知られています。

相模小田原北条家の家臣として生まれた甚右衛門は、その後江戸に移り住み、慶長17年（1612年）には道三河岸（どうさんかし）の傾城町（けいせいまち）で遊郭開設の出願のために遊女屋を営んだとされています。しかし、この時期の彼の活動については、諸説があり、確かなことは分かっていません。

遊郭開設の動きは、江戸幕府によって一度は頓挫しましたが、5年後の元和3年（1617年）に、ついに吉原町に遊郭を創設することが許可されました。この時、甚右衛門は遊郭全体の責任者である惣名主（そうなぬし）に任命され、以後、彼の家系が代々惣名主を世襲することとなりました。吉原遊郭は、江戸の遊興文化の中心地として発展し、多くの人々で賑わいました。甚右衛門は、遊郭の創設という大事業を成し遂げただけでなく、その後の遊郭の運営にも深く関わったと考えられています。

庄司甚右衛門の人生は、戦国時代から江戸時代への転換期において、一人の町人がいかにして大きな影響力を持つに至ったかを示す好例と言えるでしょう。彼の残した足跡は、今日の私たちにも、江戸時代の文化や社会を理解するための重要な手がかりを与えてくれます。遊郭の歴史を語る上で、庄司甚右衛門の名前は決して忘れることのできない存在です。

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