庄川水力電気庄水3号形電気機関車

庄川水力電気庄水3号形電気機関車の概要

庄川水力電気庄水3号形電気機関車は、特に専用鉄道での資材輸送を目的に設計された電気機関車です。1925年には川崎造船所によって製造され、主に小牧ダムの建設に伴う資材や流木の輸送を担当しました。ダム工事が終了した後も、そのデザインと機能性から、庄川水力電気の専用鉄道線で使用され続けましたが、最終的には地方の私鉄各社へ譲渡され、富山地方鉄道や京福電気鉄道福井支社などでの運用がされました。

製造背景

庄川水力電気が小牧ダムおよび発電所の建設に向けた資材輸送手段を確保するために自社専用鉄道線を約4.6km整備しました。当初は蒸気機関を用いる計画で進められていましたが、電力供給の見通しが立ったことで電気動力に切り替えられ、1925年に庄水3号から6号の四両が製造されました。

車体の特徴

庄水3号形の最大の特徴は、その独自の凸型車体デザインです。車体の中央には広めの機器室があり、両側に分割されたボンネットが配置されています。これにより、機器室の容積が大きく、機能的な設計が実現されています。全長9,858mm、幅2,550mmと、比較的コンパクトなサイズ感を持っておりながら、外見はその構造から大きく見える印象を与えます。

吉川文夫氏や三木理史氏などによると、この分割されたボンネットデザインには乗降の利便性向上や抵抗器の冷却効率を高める意図があったという説がありますが、詳細は明らかではありません。運転席も左右両側面に配置されており便利さを重視した設計となっています。照明設備には、機器室の中央に前照灯がひとつ、標識灯もボンネット前方に設置されています。

機関車の主要機器

機関車には電気空気単位スイッチ式の制御器が搭載されています。主電動機は川崎造船所製の直流直巻整流子式で、各台車に二基ずつ、合計四基が装着されています。これにより、全負荷時の定格速度は15.2km/h、引張力は4,460kgを実現しています。また、台車には釣り合い梁式デザインが採用され、運転性能が向上されています。

運用の経緯

建設資材や流木の輸送に使用されていましたが、ダム工事の進行に伴い余剰機が発生しました。1928年には庄水3号が黒部鉄道に売却され、経歴を重ねつつ富山地方鉄道に統合されました。庄水5号は京都電燈に譲渡され、同社の貨物列車として長年活躍しました。さらに、庄水4号と6号は地域の鉄道で運用を続け、多くの改良を経ながら最後の運用を行いました。

現在の状況

残念ながら、庄川水力電気庄水3号形電気機関車は全て解体され、現存するものはありません。彼らの存在は過去の一部となり、地域の鉄道史に記録されていますが、その特異なデザインに対する評価は今も変わらず、多くの鉄道ファンから語り継がれています。

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