庄弘高

庄 弘高（しょう ひろたか）

庄 弘高は、平安時代末期から鎌倉時代にかけての日本の武将であり、四方田氏の祖として知られています。彼の出自は武蔵国児玉党に由来し、本宗家の四代目・庄太夫家弘の次男とされますが、通称は単に「太夫」と記録されているものの、本来の名称は「二郎」だと考えられています。

略歴

文治5年（1189年）、庄弘高は他の兄弟と共に源頼朝に従い、奥州合戦に参戦しました。この戦で彼は武功を上げ、その結果、備後国御調本北条の地頭職を授与されました。戦後、彼は武蔵児玉郡の四方田村に定住しました。こうした経歴を経て、庄弘高は四方田氏の開祖となったのです。

荘家文書と系譜の疑念

庄二郎弘高に関しては、岡山県にある『荘家文書』に、家弘の嫡男として藤原弘高と記載されており、「元祖、従五位下、庄権守のために武家に昇る」との説明があります。しかし、この文書に対する信憑性は学者の間で疑問視されています。理由の一つには、弘高の子孫が庄氏本宗家の本拠地「栗崎」を相続せず、分家の「四方田」を名乗っている事実があります。

さらに、通し字である「家」の継承の方法に不自然さが見られること、弟である家長の通称が「太郎」である点も指摘されています。したがって、長男は家長であり、次男が弘高であると考えられるのです。

結局、庄太夫家弘の長男が家長、次男が弘高、三男が忠家、四男が高家、五男が弘方であるというのが正しい系譜とみなされています。このことから、『荘家文書』での誤伝が疑われるのです。

四方田氏の実像

弘高は『吾妻鏡』に「四方田三郎弘長」として記されていますが、この資料には誤った表記が多く含まれているため、本来は「四方田二郎弘高」と考えられています。文治元年（1185年）に彼の名が記録されていることから、この時点ですでに四方田氏を名乗っていた可能性があるとされています。

また、文治5年の記録には「庄三郎忠家」と「四方田三郎弘長」が同時に登場しますが、これは庄氏と四方田氏が同族であることに気づいていなかったためとも解釈されます。特に、相対的に嫡流であるべき家長の名が常に先に記されていることからも、弘高が弟であることがわかります。

『武蔵七党系図』には、弘高の子として「四方田庄三左衛門左近将監 弘長」との記録もあり、弘高の子が弘長であるとされていますが、この伝承が正しければ弘長が実在しない可能性が高いです。

弘高の家族について

伝説に基づくと、弘高の長男は庄太郎家長で、そのほかに弘定、弘長、弘季、弘綱、そして高綱が見られます。文献によると、弘長が弘高と同一人物であり、家長がその兄であるとすれば、四方田という名を名乗ったのは弘季・弘綱・高綱の三子であるとされますが、弘定の位置付けについては不確定な部分が残ります。

その他の情報

本庄市の四方田地区に位置する四方田氏の館跡は、保存状態が良く周囲の武家館と比較しても明瞭な堀の痕跡が残っています。他の文献では、家弘とその兄家長についての伝承は存在するものの、弘高に関連する記録は見当たらないため、家長と同時代の人物として考えるのが自然です。

また、家長が本宗家の中心地を去ることによって弘高が嫡男を主張したとの見解もあります。その一方で、後世の四方田氏の一族が系図を改編し、歴史を遡る手段として利用した可能性も完全には否定できません。これらの点を考慮すると、庄氏全体の系譜は複雑で多面的であることが分かります。

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