底魚

底魚（Demersal fish）とは

底魚（ていぎょ/そこうお）とは、海、河川、湖沼の底部で生活する魚類の総称です。底生魚（ていせいぎょ）とも呼ばれます。文字通り、水底に近い環境で生活する魚たちのグループを指します。

底魚の多様な生態

底魚と一口に言っても、その生態は非常に多様です。例えば、以下のような魚類が底魚に含まれます。

カレイ目の仲間: 海底に着床して生活する、平たい体型が特徴的なグループです。砂地に擬態し、じっと身を潜めて獲物を待ちます。
タチウオ: 泥底近くを遊泳する、細長い体型をした魚です。銀色の体色が美しく、光を反射しながら水中を漂います。
アンコウ: 砂底に潜んで他の魚を襲う、ユニークな外見をした魚です。頭部にある誘引突起で獲物を誘い込みます。
アイナメ: 海底付近を遊泳して過ごす魚です。岩礁帯などでよく見られ、縄張り意識が強いことが知られています。

このように、底魚には様々な種類が存在し、それぞれが独自の進化を遂げてきました。

底魚の体型

底魚の体型もまた、多様性に富んでいます。海底との接触時間が長いカレイやアンコウは、扁平な体型をしているのが特徴です。これは、水底に張り付いて生活するのに適した形状と言えるでしょう。一方、海底付近を遊泳して過ごすアイナメなどは、比較的流線型の体型をしています。このように、生活様式に合わせて体型も変化しているのが、底魚の興味深い点です。

底魚と環境

底魚は、水底の環境と密接に関わって生きています。そのため、水質汚染や海底の破壊など、環境の変化に非常に敏感です。近年、沿岸域の開発や海洋汚染が進み、底魚の生息環境が悪化していることが懸念されています。底魚を守るためには、環境保全の取り組みが不可欠です。

底魚と人間

底魚は、私たち人間にとっても重要な存在です。カレイやヒラメ、アンコウなどは、食用として広く親しまれています。また、底魚は水底の生態系を支える重要な役割も担っています。底魚の減少は、生態系全体のバランスを崩すことにつながる可能性があります。

まとめ

底魚は、多様な生態と体型を持つ、魅力的な魚たちのグループです。水底の環境と密接に関わりながら生きており、生態系の中でも重要な役割を担っています。底魚を守ることは、豊かな海を守ることにつながります。

参考文献

猿渡敏郎編著 『魚類環境生態学入門』 東海大学出版会 2006年 ISBN 4-486-01729-3

関連項目

底生生物
* ボトムフィーダー

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