府兵制

府兵制について

府兵制（ふへいせい）とは、中国の南北朝時代の西魏から唐代までに採用された兵士を組織する制度のことを指します。この制度は、兵戸制からの発展を経て、軍事戦略や政治情勢に応じて進化していきました。

前期府兵制の成立

府兵制の前身は兵戸制であり、特定の家系に永代の兵役義務を課す制度でした。この発想は、魏の曹操が黄巾党の残党30万を束ねた青州兵に由来しています。兵戸制は南朝・北朝に広がりましたが、南朝では文治主義が優先されたため兵戸の地位は低下し、宋代には制度自体が崩壊することになります。

一方、北方地域はさまざまな民族や勢力が混在し、常に軍事的な需要がありました。そのため、北魏では兵戸が「鎮」と呼ばれ、特に首都平城での六鎮の重要性が増していきました。しかし、孝文帝の文治政策によって彼らの地位は次第に低下し、軍の統治権も中央から奪われてしまいます。これに対する不満から、六鎮の乱が勃発します。

兵士の改革と後期府兵制の導入

西魏の宇文泰のもとで、兵力が西魏と東魏で著しい格差を持つ中、改革が進みました。550年頃には「二十四軍」が編成され、郷兵たちは特別な戸籍に移行します。西魏から禅譲を受けた北周、そして隋文帝がこの制度をさらに整えました。この時、二十四軍と禁軍が統合され、十二衛が首都の防衛を担当します。

589年、陳を征服した後には、軍戸籍制度が廃止され、兵士は一般の戸籍に編入されました。隋の統治下では、府兵たちは京師や国境の警備を義務づけられることになり、農閑期には訓練が行われました。府兵として勤務する者は、武器や食料を自身で負担していました。

府兵制の変化と崩壊

しかし、隋末から唐初にかけて府兵制は一時崩壊します。636年には折衝府が再設置され、府兵制も再度実施されましたが、大きな負担が住民にのしかかり、衛士として務める者が次第に減ってしまいました。この不足を補うために彍騎という制度が導入されましたが、農民の強い反発に遭い、成功を収めることはできませんでした。

その後、北衙禁軍が京師の防衛を担うようになり、団練兵・団結兵が地方の治安を維持する役割を果たしました。

新たな防衛制度が必要とされる中で、軍・城・守捉・鎮などの組織が設立され、従来の府兵ではなく新たに募集された兵士たちが地域の防衛に従事するようになりました。

749年には最終的に折衝府が廃止され、府兵制は自然に消滅していきました。これにより、兵制の歴史は変貌し、今までの役割を果たせなくなったのです。

結論

府兵制は中国史において特有の軍事体系として重要な役割を果たしました。その目的や構造、変遷は、歴史や文化の中で重要な位置を占めています。その後の地域防衛や軍事制度に影響を及ぼし、古代中国の政治体制とも密接にかかわるものでした。

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