府立一中

「府立一中」という言葉は、主に旧制中学校制度の時代に、各府県に設置された第一中学校を指す略称や通称として用いられました。ここでは、特にその名で呼ばれることの多かった三つの学校、東京都立日比谷高等学校（旧東京府立第一中学校）、京都府立洛北高等学校・附属中学校（旧京都府立第一中学校）、大阪府立北野高等学校（旧大阪府第一中学校）を中心に解説します。

東京都立日比谷高等学校（旧東京府立第一中学校）

東京都立日比谷高等学校は、その前身を東京府第一中学と称していた時期があります。具体的には、1900年に東京府第一中学に改称され、翌1901年には東京府立第一中学校となりました。この時期の略称として「府立一中」が用いられました。さらに、1943年の都制施行により都立一中に改称されましたが、それ以前の「府立一中」という呼び名は、便宜的な略称として、あるいは通称、汎称として広く使われていました。特に、東京や大阪、京都といった地名を冠さずに単に「府立一中」と呼ぶ場合、多くはこの東京都立日比谷高等学校を指していました。

京都府立洛北高等学校・附属中学校（旧京都府立第一中学校）

京都府立洛北高等学校・附属中学校もまた、旧制中学校制度の下で「府立一中」と呼ばれる時期がありました。1899年に京都府第一中学に改称され、1901年には京都府立第一中学校となりました。その後、1918年に京都府立京都第一中学校（通称・京都一中）と改称されるまでの間、「府立一中」という略称が用いられました。京都一中と改称された後も、便宜的な略称、通称、汎称として使われることがありました。

大阪府立北野高等学校（旧大阪府第一中学校）

大阪府立北野高等学校も、「府立一中」という名称と関連があります。1877年から1879年の間、大阪府第一番中学と名乗っていたこと、そして1895年から大阪府第一尋常中学校、1899年から1901年の間、大阪府第一中学校と名乗っていた期間がありました。これらの時期において、「府立一中」という略称が便宜的に用いられることがありました。ただし、東京や京都の「府立一中」ほど一般的ではありませんでした。

このように、「府立一中」という言葉は、旧制中学校制度の下で各府県に設立された第一中学校を指す略称として、歴史的な背景の中で用いられてきました。特に東京都立日比谷高等学校、京都府立洛北高等学校・附属中学校、大阪府立北野高等学校は、それぞれ「府立一中」と呼ばれた時代があり、その名称は今もなお、各校の歴史を語る上で重要な意味を持っています。

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