度支顧問事件

度支顧問事件

度支顧問事件（たくしこもんじけん）は、1897年に発生した韓国の政治的動乱を示す重要な出来事です。大韓帝国の国王である高宗が皇帝に即位するタイミングで、ロシア公使アレクセイ・ニコラビッチ・シュペイエルは、韓国の財政を担当する度支衙門の顧問をイギリスの推薦したジョン・マクレヴィ・ブラウンから自国のアレクセーエフに変更するよう要求しました。これにより、韓国政府はロシアの影響を強めることとなります。

この事件は、当時の韓国において非常に注目されるものであり、国際的な関係が大きく揺らぐ契機となりました。シュペイエルは韓国政府の同意を受けてアレクセーエフを顧問に選任させた後、ロシアは露韓銀行の設立を進め、1898年2月には韓国の首都である漢城府に支店を開設します。

これに対し、イギリスはロシアの影響力拡大を懸念し、東洋艦隊を仁川に派遣して圧力をかける一方で、韓国の独立を支持するインディペンデンス協会は積極的に行動を起こしました。1898年2月、その協会は反露闘争を展開し、観衆を集めて「万民共同会」を開き、政府に対してロシア人の軍事教官や財政顧問の解任、及び露韓銀行の撤収を求める登記を提出します。これは韓国政府に一定の影響を与え、最終的にロシアの軍事顧問を雇用しない旨を告げる決定を下すに至りました。

しかし、ロシアは1900年ごろに清国との間で旅順港や大連湾の租借に関する条約を結び、韓国に対しての関心を失い、3月には韓国から全てのロシアの顧問が撤退する事態となります。そして、同年4月には露韓銀行も閉鎖されることになります。このように、度支顧問事件は韓国の内政のみならず、国際的な力関係にも大きな影響を与えました。

加えて、当時の韓国では日本との関係も影響を受けていました。韓国政府は日本による刻印附圓銀での納税を禁止しようとするも、総税務司ブラウンの収税行為がこれに反して続けられたとされています。これらの一連の出来事は、韓国国内における外交的な緊張と国政を巡る動きの中で、次第に韓国が直面する様々な困難を表しています。

年譜として、1897年2月には高宗が露館播遷を完了し、10月には韓国が独立したことが示されています。また、同年3月には金鴻陸が高宗を暗殺しようとした事件（毒茶事件）が発生し、暗殺未遂の結果、高宗はその後の展開に翻弄されることになります。度支顧問事件は、韓国の歴史における転機の一つであり、国際的な影響力と国内の政治運動が交錯した時代を反映したものでもあります。

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