座頭市の歌が聞える

『座頭市の歌が聞える』概要

1966年に公開された日本映画、『座頭市の歌が聞える』は、勝新太郎が主演を務める人気シリーズ「座頭市」の第13作目にあたります。監督は田中徳三。

本作では、シリーズ第1作にも登場した天知茂が再び登場し、座頭市との手に汗握る対決が描かれます。映画のタイトルには「歌が聞える」とありますが、主人公である座頭市自身が歌うシーンはありません。むしろ、物語の途中で市が旅路を共にする琵琶法師が奏でる哀切な一曲が、深く印象に残る場面として挿入されており、これが作品の雰囲気を特徴づけています。

あらすじ

盲目の居合い斬りの達人、座頭市は、ある日、やくざに襲われて深手を負った浪人・為吉と出会います。為吉は瀕死の状態で、持っていた大金の入った財布を幼い太一という少年へ渡してほしいと市に託して息絶えます。翌日、市は街道で出会った不思議な雰囲気を持つ琵琶法師に誘われ、上州一宮宿へと向かうことになります。

一宮宿に到着した市が立ち寄った茶店で、彼は店を営む老婆と少年が、他界した為吉の母と息子である太一だと知ります。一宮はかつては平和な宿場町でしたが、最近になって板鼻の権蔵一家が進出してきて、町を支配するようになり、平穏が乱されていました。多くの店が権蔵一家の圧力に屈する中、太一の祖母が営む茶店を含む数軒だけが支配に抗い続けていました。市は、為吉から託された太一とその祖母を守るため、権蔵一家との争いに巻き込まれていくことになります。

その頃、例の浪人、黒部玄八郎が一宮宿に姿を現します。彼は三年前に姿を消した女房を探し求めてこの町にたどり着いたのでした。彼の女房は「お蝶」と名を変え、この町で女郎として働いていました。黒部は、お蝶を身請けするための五十両の金を稼ぐため、権蔵親分から座頭市を倒すという仕事を引き受けてしまうのです。こうして、座頭市は、権蔵一家との抗争に加え、因縁の相手である黒部玄八郎との避けられない対決に直面することになります。

スタッフ・キャスト

スタッフ

企画：久保寺生郎
原作：子母沢寛
脚本：高岩肇
監督：田中徳三
撮影：宮川一夫
美術：西岡善信
音楽：伊福部昭
編集：菅沼完二

キャスト

座頭市：勝新太郎
黒部玄八郎：天知茂
お蝶：小川真由美
板鼻の権蔵：佐藤慶
琵琶法師：浜村純
おかん：吉川満子
お露：小村雪子
弥兵衛：水原浩一
太一：町田政則
お春：東三千
半次：伊達三郎
虎松：堀北幸夫
為吉：木村玄
金兵衛：玉置一恵
亀五郎：藤川準
伝八：西岡弘善
一膳飯屋の爺さん：石原須磨男
高崎のやくざ：黒木英男、薮内武司
* 亀五郎の女房：谷口和子

併映作品

本作は『若親分乗り込む』（井上昭監督）と併映されました。

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