菅沼完二

菅沼完二（すがぬま かんじ、1909年5月20日 - 不明）は、京都府福知山市出身の映画監督、そして編集技師として、その名を映画史に刻みました。日活太秦撮影所では監督としてキャリアをスタートさせ、後に大映京都撮影所では編集技師として数々の名作を手がけました。特に、大映時代には、その卓越した編集技術で多くの映画を支え、映画界に多大な貢献をしました。

日活での監督時代

菅沼は、日活太秦撮影所において、監督としてのキャリアをスタートさせました。1935年には、『小鼓兄弟』で監督デビューを果たし、その後も嵐寛寿郎主演の時代劇を中心に、数々の作品で監督を務めました。彼の初期の監督作品には、『次郎吉ばやり』、『忍道血風録』、『槍の権三』、『巨猫伝』、『一心太助』、『剣光桜吹雪』、『鞍馬天狗 薩摩の密使』などがあります。これらの作品を通じて、彼は監督としての才能を磨き、その後の活躍の礎を築きました。

大映での編集技師としての活躍

戦後、菅沼は大映京都撮影所に移籍し、編集技師として新たなキャリアをスタートさせました。大映では、プロデューサーとしても活動しましたが、編集技師としての貢献が特に大きいです。彼の編集技術は、数多くの作品を輝かせました。

特に有名な編集作品としては、仏教映画の巨匠、三隅研次監督の『釈迦』、特撮時代劇の傑作『大魔神怒る』、そして何と言っても勝新太郎主演の『座頭市物語』から始まる、座頭市シリーズがあります。また、市川雷蔵主演の『眠狂四郎勝負』以降の眠狂四郎シリーズも彼の代表作として知られています。

これらの作品を通じて、彼は時代劇映画の魅力を最大限に引き出し、観客を魅了しました。彼の編集は、単に映像をつなぎ合わせるだけでなく、映画のリズムやテンポ、そしてドラマを深く理解した上で行われており、作品の完成度を大きく高めました。彼の編集技術は、その後の映画界における編集技法の模範となり、多くの後進に影響を与えました。

その他の作品

菅沼の仕事は、編集だけにとどまりませんでした。企画や脚本、照明など、映画制作の様々な分野で才能を発揮しました。彼の関わった作品は多岐にわたり、そのどれもが映画史に残る名作です。

特に、企画として参加した作品には、『新やじきた道中記』、『地獄太鼓』、『怪談佐賀屋敷』などがあります。また、脚本を手がけた『知らずの弥太郎』など、多才ぶりを発揮しています。

編集作品としては、『近松物語』、『楊貴妃』、『新・平家物語』、『新・平家物語 義仲をめぐる三人の女』などの歴史大作から、『町奉行日記　鉄火牡丹』、『初春狸御殿』、『歌麿をめぐる五人の女』、『お嬢吉三』、『疵千両』などの時代劇まで、幅広いジャンルの作品に携わりました。また、『大菩薩峠 竜神の巻』、『大江山酒天童子』、『忠直卿行状記』、『濡れ髪牡丹』、『悪名』シリーズ、『ドドンパ酔虎伝』、『青葉城の鬼』、『斬る』、『裁かれる越前守』、『剣に賭ける』、『新選組始末記』、『妖僧』、『影を[[斬る]]』、『無宿者』、『無法松の一生』、『剣鬼』、『新書・忍びの者』、『悪名桜』、『若親分』シリーズ、『華岡青洲の妻』、『古都憂愁 姉いもうと』、『ひき裂かれた盛装』、『妖怪百物語』、『兵隊やくざ強奪』、『ひとり狼』、『鬼の棲む館』、『博徒一代 血祭り不動』、『人斬り』、『悪名一番勝負』、『怪談累が渕』、『ボクは五才』など、数々の名作の編集を担当しました。

菅沼完二は、監督、編集技師として、映画界に多大な貢献をしました。彼の卓越した技術と才能は、今もなお、多くの映画ファンを魅了し続けています。

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