康王 (宋)

康王（こうおう）

康王は、中国戦国時代の宋の第34代にして最後の君主です。紀元前329年から紀元前286年まで在位しました。姓は子、氏は戴、諱は偃、諡は康です。戴公の末裔とされています。

即位

康王は、紀元前328年に兄の剔成君を軍事クーデターで追放し、宋の君主の座を奪いました。このため、剔成君には諡号が与えられていません。

当時の宋は、楚、斉、魏という強国に挟まれ、その動向に常に左右される状況でした。襄公以降、目立った活躍もなく、弱小国に成り下がっていました。このような状況下、宋君偃は即位10年目の紀元前320年に、諸侯が相次いで王号を称する時勢に乗じ、宋君としては最初で最後の王号を名乗ります。

暴政と滅亡

王を名乗った康王は、斉の属国であった滕を滅ぼすなど、周辺国に対して軍事行動を積極的に行いました。しかし、外政での自信過剰は、内政における暴政へとつながります。神を祀った祠を焼き払い、大地を鞭打ち、民衆には暴虐を働きました。さらには、臣下の美しい妻を奪い、諫言する者には容赦なく罰を与えました。その恐怖政治は、国内外から「宋の桀」と呼ばれるほどでした。

諸侯は、康王を「殷の暴君である紂王の再来」と非難し、討伐の口実としました。しかし、宋の民は康王の暴政を恨み、国のために戦おうとはしませんでした。紀元前286年、斉、魏、楚の連合軍によってあっけなく攻め滅ぼされ、康王は殺害されました。ここに宋は滅亡し、その領土は戦勝国によって分割されました。これにより、殷の流れを汲む王朝は完全に途絶えることとなります。

紀元前256年には周王朝も滅亡し、都市国家を基盤とした旧王朝の系譜は完全に途絶え、中原は秦、そして漢という強力な王権を持つ統一国家へと再編されていくことになります。

評価

康王は、44年という長期にわたり在位した最後の君主として、その治世は特異なものでした。弱小国でありながら一時的に外征を行うことができたのは事実ですが、その後の暴政は、宋を滅亡へと導きました。

しかし、その暴君伝説は、勝者によって創作された可能性も指摘されています。歴代王朝の最後の支配者は、史書において悪く書かれる傾向があり、康王の場合も殷の紂王の末裔という悪評が、史実を歪めている可能性があります。今後の研究による解明が期待されます。

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