廣川洋一

廣川洋一：古代ギリシア哲学を深く探求した哲学者

1935年1月19日、新潟県に生まれた廣川洋一(ひろかわ よういち)は、日本の西洋哲学を代表する哲学者の一人です。専門は古代ギリシア哲学であり、その深い知見と豊富な著作から、日本の学術界に多大な貢献を果たしました。2019年11月8日、前立腺がんのため83歳で永眠しました。

学術への貢献：

廣川氏は、東京教育大学文学部を卒業後、京都大学大学院文学研究科博士課程を満期退学。田中美知太郎、松平千秋、藤沢令夫といった錚々たる学者らに師事し、1977年には京都大学で博士号を取得しています。その後、東海大学を経て、1988年から筑波大学哲学・思想学系教授に就任。1999年に定年退官後も、龍谷大学文学部教授として後進の育成に尽力し、2005年に退任しました。筑波大学名誉教授の称号も贈られています。

幅広い研究と著作活動：

廣川氏の研究は、古代ギリシア哲学、特にヘシオドス、プラトン、アリストテレスといった重要な思想家たちに焦点を当てています。その知見は、単著として数多くの書籍に結実しています。代表的な著書として、『ヘシオドス研究序説－ギリシア思想の生誕』、『プラトンの学園 アカデメイア』、『イソクラテスの修辞学校 西欧的教養の源泉』、『ソクラテス以前の哲学者 初期ギリシアにおける宇宙自然と人間の探究』などがあります。これらの著作は、古代ギリシア哲学を深く理解するための貴重な資料として、現在も高く評価されています。

また、共編著や翻訳にも携わっており、『哲学の名著12選』、『ヨーロッパにおける人間観の研究』といった共編著も出版。翻訳においては、ヘシオドスの『神統記』の岩波文庫版をはじめ、プラトンの著作や、ベルグソンの著作などを翻訳し、日本の読者にとって難解な古典を分かりやすく紹介する役割を果たしました。さらに、専門的な論文も多数発表しており、学術誌への寄稿や学会発表を通じて、積極的に研究成果を発表し続けました。

教育者としての姿勢：

廣川氏は、研究活動のみならず、教育者としても大きな功績を残しました。大学で教鞭をとる傍ら、多くの学生を指導し、次世代の哲学者を育成することに尽力しました。彼の講義は、古代ギリシア哲学への深い理解と熱意に溢れ、多くの学生を魅了したと言われています。丁寧な指導と深い洞察によって、多くの優秀な研究者を輩出しました。

死後も続く影響：

2019年の逝去後も、廣川氏の功績は広く称えられています。筑波大学哲学研究会は、彼を偲んで追悼号を発行し、その生涯と業績を後世に伝えています。彼の著作は、現在も多くの研究者や学生によって読み継がれており、古代ギリシア哲学研究において、その影響は絶大なものと言えるでしょう。廣川洋一氏の業績は、日本の哲学界に大きな足跡を残し、今後も多くの研究者や学生たちに、多大な影響を与え続けることでしょう。

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