廣池千九郎

廣池千九郎：道徳科学の Pioneer

廣池千九郎（1866年5月13日 - 1938年6月4日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の思想家、教育者、法学者、歴史学者であり、モラロジー（道徳科学）の提唱者として知られています。彼は、道徳科学研究所（現・モラロジー道徳教育財団）と学校法人廣池学園を創立し、社会教育と学校教育を通じて道徳の重要性を訴えました。

学問の道へ

廣池は、慶應義塾の関連校である中津市学校で学び、歴史研究に没頭。その後、法学を修め、早稲田大学講師、神宮皇學館教授を歴任しました。また、国家的事業である『古事類苑』の編纂にも携わり、東洋法制史の研究にも取り組みました。1912年には、東京帝国大学から法学博士号を授与されています。

モラロジーの提唱

博士号取得後、廣池は道徳の科学的研究を深め、1928年に『道徳科学の論文』を著し、モラロジーを提唱しました。モラロジーとは、道徳を科学的に研究し、その成果を社会に役立てようとする学問です。廣池は、道徳こそが社会の安定と発展に不可欠であると考え、「三方よし」の精神を説きました。

教育活動と社会貢献

1935年、廣池はモラロジーに基づく社会教育と学校教育を行う道徳科学専攻塾（現在のモラロジー道徳教育財団、学校法人廣池学園）を設立。若者の育成に尽力しました。また、労働問題の解決にも尽力し、多くの企業で講演や指導を行いました。彼の活動は、山縣有朋、東郷平八郎、渋沢栄一など、当時の著名人からも支持を得ました。

生涯を閉じる

廣池千九郎は、1938年6月4日、群馬県にて72歳で逝去。彼の提唱したモラロジーは、現在もモラロジー道徳教育財団や廣池学園によって受け継がれ、社会の発展に貢献しています。

主な著書

『小学歴史歌』(1889年)
『中津歴史』(1891年)
『皇室野史』(1893年)
『古事類苑』(1896年、共編)
『東洋法制史序論』(1905年)
『伊勢神宮』(1908年)
『東洋法制史本論』(1915年)
『日本憲法淵源論』(1916年)
『道徳科学の論文』(1928年)
『孝道の科学的研究』(1929年)
『新科学モラロヂー及び最高道徳の特質』(1930年)

参考文献

『伝記 廣池千九郎』廣池学園事業部、平成16年
井出元『廣池千九郎の遺志』モラロジー研究所、2011年
モラロジー研究所 編著『廣池千九郎物語　生涯教育の先駆者』モラロジー研究所、2016年
橋本富太郎『廣池千九郎　道徳科学とは何ぞや』ミネルヴァ書房、2016年

関連情報

廣池千九郎記念館公式ホームページ
公益財団法人モラロジー研究所
学校法人廣池学園

廣池千九郎は、激動の時代に、道徳の重要性を訴え続けた Pioneer でした。彼の思想と活動は、現代社会においても多くの示唆を与えてくれます。

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