古事類苑

古事類苑（こじるいえん）

古事類苑は、明治政府の指導の下で作成された、日本唯一の官撰百科事典です。このプロジェクトは、文部大書記官である西村茂樹の提案により、1879年に文部省によって始まりました。編纂の指揮を執ったのは、国学者の佐藤誠実であり、彼は日本の古典文献を様々な分野に分けて整理する作業を進めました。

この百科事典は、1896年から1914年にかけて徐々に刊行され、最終的には全1000巻に及ぶ大規模な作品となりました。内容は非常に多岐にわたり、天部、歳時部、地部、神祇部、帝王部など、30に及ぶ部門から構成されています。各部門は、古代から1867年（慶応3年）までの文献から重要な部分を引用し、分かりやすい説明を付してまとめられています。

古事類苑の編纂においては、中国の宋代の『太平御覧』や清代の『淵鑑類函』、さらには『和漢三才図会』といった優れた参考資料が活用され、独自の分類基準が設けられました。これは、当時の国学者たちによる蓄積と研究の成果を基にしたものであり、古事類苑は日本史研究の基礎資料として、今でも高く評価されています。

1880年代から90年代にかけて、編纂作業は皇典講究所、神宮司庁、さらには文部省東京学士院へと引き継がれました。特に1890年からは皇典講究所が中心となり、その後、神宮司庁も編纂に関与しました。編纂チームには、著名な国学者の黒川真頼を含む数多くの研究者が参加し、彼らは編集委員や編修顧問として重責を担いました。

1896年からは、刊行が始まり、1914年まで続きました。和装本は355冊、洋装本は51冊という形式で発刊され、これにより古事類苑は一般の読者にも手に取られる機会を得ました。出版後、古事類苑はその重要性から、複数回にわたり復刻されており、比較的最近では1967年から71年、また1995年から99年の2度にわたって吉川弘文館から再版されています。

さらに、2012年からは国際日本文化研究センターが提供する「古事類苑ページ検索システム」を通じて、デジタル形式でのアクセスが可能となり、広範な情報を簡単に取得できる環境が整いました。このように、古事類苑はただの百科事典に留まらず、日本の文化と歴史を深く理解するための貴重な資源となっています。日本史を学ぶための基礎資料としての役割は、今もなお果たされています。

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