廣瀬正徳

廣瀬 正德

廣瀬 正德（ひろせ せいとく）は、慶応元年3月1日（1865年3月27日）に筑前国（現在の福岡県）で生まれ、昭和13年（1938年）9月27日に亡くなった、明治から昭和にかけての日本の軍人であり実業家です。最終的な階級は陸軍主計中将であり、正四位を授けられています。74歳でその生涯を終えました。

軍歴

明治26年（1893年）、大日本帝国陸軍の軍人となった廣瀬は、主に経理畑の職務を歴任しました。大正5年（1916年）には、朝鮮駐箚軍の経理部長を務め、その手腕を発揮しました。その後、大正8年（1919年）から大正12年（1923年）にかけては、陸軍経理学校の校長を務め、多くの後進を指導しました。校長を退任した後、大正12年（1923年）6月12日付けで予備役に編入され、長年にわたる軍務から身を引くこととなりました。

相撲協会理事長として

軍を退いた廣瀬は、昭和に入ってから意外な分野でその能力を発揮することになります。当時、東西に分かれて対立していた大相撲協会は、その統合と財団法人化を目指していました。そして、昭和3年（1928年）1月7日に開催された大日本角力協会（現在の日本相撲協会）の総会において、財団法人として新たに発足した大日本角力協会の初代理事長に推挙され、その要職に就任しました。

理事長在任中には、相撲界を揺るがす大きな事件が発生しました。出羽海部屋の力士であった天竜三郎らが、協会の体制改革や力士の待遇改善を求めて起こした「春秋園事件」です。この未曽有の事態に対し、廣瀬は当時の協会会長であった福田雅太郎と共に、事態の収拾に向けて奔走し、相撲界の安定化に努めました。

人物像と晩年

廣瀬正徳は軍人や相撲協会の要職を務めただけでなく、文化的な側面も持ち合わせていました。特に書画に深い造詣があり、自身も『秋山』という号を持つ書家として知られていました。多忙な職務の傍ら、芸術的な活動も行っていたことは、彼の幅広い関心と豊かな内面を示すものです。

昭和13年（1938年）9月27日、廣瀬は肝臓病のため、慶應義塾大学病院で亡くなりました。享年74歳でした。

栄典

廣瀬は軍人として功績を認められ、正四位の位階を授けられています。また、大正5年（1916年）9月11日には正五位に叙されています。

参考文献

* 福川秀樹著『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年

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