延平 (後燕)

延平（えんへい）は、五胡十六国時代の後燕において、皇帝を僭称した慕容麟（ぼようりん）が使用した元号です。その期間は397年7月から10月までのわずか数ヶ月間でした。

397年、北魏（ほくぎ）の拓跋珪（たくばつけい）（道武帝）が後燕の首都である中山（ちゅうざん）を包囲しました。この時、後燕の皇帝であった慕容宝（ぼようほう）は、部下を率いて籠城し、永康（えいこう）の元号を398年まで使用していました。

一方、北魏軍が一時的に退却すると、後燕の貴族であった慕容詳（ぼようしょう）が南燕（なんえん）の皇帝を称して自立し、建始（けんし）と改元しました。しかし、慕容詳は間もなく殺害され、その後、慕容麟が自立して延平と改元しました。

同年、北魏が再び中山を攻撃すると、慕容麟は抵抗を断念し、范陽王（はんようおう）慕容徳（ぼようとく）の下に投降しました。これにより、内紛状態にあった後燕は再び統一されることとなりました。

延平という元号は、後燕の激動の時代を反映しています。北魏の侵攻、内部の権力闘争、そして短期間での皇帝の交代劇など、様々な出来事がこの短い元号の背後に存在しています。慕容麟による延平の使用は、後燕の分裂と再統一という歴史的な流れの中で、一時的ながらも重要な役割を果たしました。




参考文献
『中国歴代年号考』李崇智（中華書局 2004年）

関連項目
他王朝の延平

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