延昌 (僧)

延昌(えんしょう)は、平安時代中期に活躍した天台宗侶で、加賀国江沼郡(現在の石川県南部)の出身です。元慶4年(880年)に生まれ、応和4年(964年)1月15日に亡くなりました。諡号は慈念(じねん)と称されます。

幼少の頃に出家した延昌は、比叡山に上り、円仁の弟子である玄昭(げんしょう)に師事しました。そこで顕教(けんきょう)と密教(みっきょう)の両方を深く学びました。また、長意(ちょうい)から受戒を受け、侶としての戒律を遵守しました。延昌は、日々の修行において、尊勝陀羅尼(そんしょうだらに)を毎日欠かさず誦読し、毎月15日には多くの侶を招いて阿弥陀讃(あみださん)を唱え、西方浄土への往生を祈願しました。

延昌は、その卓越した能力と人望により、様々な要職を歴任しました。承平5年(935年)には法性寺(ほっしょうじ)の阿闍梨(あじゃり)に任じられ、天慶2年(939年)には法性寺の座主(ざす)となりました。さらに、天慶3年(940年)には内供奉十禅師(ないぐぶじゅうぜんじ)に、天慶8年(945年)には律師(りっし)に、天慶9年(946年)には天台座主(てんだいざす)という天台宗の最高位にまで昇りつめました。そして、天徳2年(958年)には正(そうじょう)の位に至りました。延昌は、朱雀天皇(すざくてんのう)と村上天皇(むらかみてんのう)の二代にわたり、天皇の帰依を受け、その師として尊敬を集めました。

また、『御遺文講義』には、学問を好まない子供のエピソードとして、延昌の名が挙げられています。このエピソードは、延昌の人間性を示すものとして、後世に伝えられています。

延昌は、平安時代中期における天台宗の発展に大きく貢献した侶であり、その功績は今日まで語り継がれています。

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