延暦寺根本中堂

延暦寺根本中堂（えんりゃくじこんぽんちゅうどう）

延暦寺根本中堂は、比叡山に位置する延暦寺の総本堂であり、長い歴史と深い精神的な意義を持つ場所です。その始まりは、伝教大師最澄によるもので、彼が延暦4年（785年）に比叡山の上に草庵を結び、3年後となる延暦7年（788年）には現在の根本中堂の位置に小堂を建立しました。この小堂は後に一乗止観院として知られるようになります。

根本中堂には、最澄が一刀三礼をもって彫った薬師瑠璃光如来が本尊として安置されています。この本尊は秘仏とされており、その前に灯された灯明が初めてともされて以来、実に1200年以上もの間、絶え間なくその光を放ち続けています。この灯火は「不滅の法灯」と呼ばれ、特に焼き討ちによる再建の際には立石寺から分灯を受けて以来、最澄の意志を尊重し続けています。

「中堂」という名称は、最澄が建立した三堂の中心に位置し、そこから薬師堂を指して言われるようになりました。この三堂は後に一つの伽藍として統合され、名残として中堂がそのまま使われています。

沿革

根本中堂の歴史には多くの困難があり、数度にわたる火災や戦乱によって焼失する事態もありました。永享7年（1435年）には、山門使節の処刑に抗議した山徒たちが立て籠もる事件が発生し、集団自決を選ぶという悲惨な出来事も記録されています。この後、嘉吉3年（1443年）には再建されますが、その修復を妨げる他の事件も数多く起きました。

特に1499年には、細川政元との対立から焼き討ちされる事態となり、再建は1518年の春に果たされました。現在の根本中堂は、元亀2年（1571年）に織田信長によって焼き討ちされた後、徳川三代将軍家光の命により、徳川幕府の主導により1634年に再建に着手され、1641年には完成を見ました。

1953年には国宝に指定され、その後も重要な文化遺産として保護されています。2015年からは大規模な改修工事が行われており、その期間も拝観が可能です。また、2018年には修復過程を間近で観察できる「修学ステージ」が設けられ、多くの訪問者がその魅力を体感できるようになっています。

構造

延暦寺根本中堂の建築は、総欅造りで、桁行11間（37.57m）、梁間6間（23.63m）、高い屋根を持つ造りです。中庭には、様々な神々を祀る竹台が置かれています。堂内は外陣・中陣・内陣に分けられており、内陣には本尊が安置されています。興味深いことに、内陣と中陣の高さは同じで、これを「天台造」や「中堂造」と呼び、天台宗の特色を示すものとなっています。

さらに中陣の天井には「百花の図」が描かれ、二百種を超える草花が色鮮やかに表現されています。根本中堂は、今でも多くの人々にとって重要な精神的支柱であり、その歴史と伝統を大切にし続けています。

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