延滞料 (図書館)

延滞料とは

延滞料（えんたいりょう）とは、図書館で資料を借りた利用者が、返却期限を過ぎても返却しない場合に課される罰金のことです。これは、利用者が期日を守って資料を返却することを促すために設けられています。一般的に、延滞料は日割りまたは月割りで計算される少額の料金であり、長期間にわたって加算され続けることはなく、上限が設定されている場合がほとんどです。

各国における延滞料の状況

多くの国で図書館が延滞料を導入しており、例えばアメリカ合衆国やイギリスなどが挙げられます。しかし、日本のように延滞料を徴収しない図書館が多い国も存在します。2000年代以降、延滞料を廃止する動きが世界的に見られるようになっています。

デンマーク

デンマークでは、図書館サービスに関する法律により、図書館の無料原則が定められていますが、同時に延滞料の徴収も認められています。14歳未満の子どもには、大人の半額の延滞料が課されます。

日本

日本では、図書館法において延滞料について直接的な規定はありません。かつては延滞料を徴収する図書館も多く存在しましたが、「延滞料の効果は疑問である」という考え方が広まり、現在ではほとんどの公立[[図書館]]で延滞料は徴収されていません。

大学図書館

公立[[図書館]]とは対照的に、大学図書館では延滞料を徴収しているところも多くあります。例えば、国際基督教大学（ICU）や慶應義塾大学などでは、延滞日数に応じて延滞料が発生します。

シンガポール

シンガポールでは、延滞料は機械的に徴収され、未払いの場合には貸出停止などの措置が取られます。

アメリカ合衆国

アメリカでは、多くの図書館が延滞料を徴収していますが、その一方で、延滞料が低所得者層の利用を妨げているという認識も広まっています。延滞料の収入は図書館運営費の一部を担っていますが、全体の予算に占める割合は少ないことが多いです。

延滞料の法的側面

図書館法には延滞料に関する直接的な規定はありませんが、図書館の利用とは「借りた資料を期限内に返却すること」と解釈できるため、延滞料の徴収は違法ではないという考え方もあります。実際に、図書館法が施行された後も延滞料を徴収し続けている図書館は少なくありませんでした。

延滞料の免除と廃止

アメリカ[[図書館協会]]（ALA）では、延滞料が図書館利用の障壁となる可能性を指摘し、延滞料の免除や廃止を検討するよう図書館に働きかけています。また、延滞料の代わりに食料の寄付を求める「Food for Fines」プログラムや、読書量に応じて延滞料を減額する「read down」プログラムなど、代替案も提案されています。

延滞料の有効性

延滞料は返却を促す目的で設定されていますが、その効果については疑問視する声も少なくありません。延滞料が逆に返却を妨げる要因となる可能性も指摘されています。

延滞料に関する議論と課題

延滞料を課すべきか否かについては、図書館界で長年議論が続けられています。延滞料は図書館の収入源である一方、利用者のアクセスを妨げる可能性もあります。特に低所得者層にとっては、図書館を利用する上での障壁となる可能性があります。

図書館は、利用者にとって開かれた学びの場であるべきという理念と、運営費を確保するという現実的な課題の間で、常にバランスを求められています。

強制措置

一部の図書館では、長期延滞者に対して強制的な措置を取ることがあります。資料の返却を求めたり、利用者の信用情報に影響を与えたり、場合によっては逮捕に至るケースもあります。ただし、これらの措置は延滞料の徴収ではなく、図書館資料の回収を目的としたものです。

まとめ

延滞料は図書館運営における重要な課題であり、その是非については様々な議論があります。図書館は、延滞料の徴収による収入と、利用者の公平なアクセスという2つの側面を考慮しながら、より良い図書館サービスを提供する方法を模索していく必要があります。

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