延辺科学技術大学

延辺科学技術大学について

延辺科学技術大学（延边科技大学、Yanbian University of Science & Technology）は、1992年に韓国のキリスト教系団体である東北アジア文化協力財団によって、中国の延辺朝鮮族自治州、延吉市に設立されました。この大学は、中国国内で初の中外合弁大学として、多文化が共存する教育の場を提供してきました。

設立の背景

その起源は1986年に遡ります。この年、金鎭慶博士が中国社会科学院に招聘教授として招かれ、中国での活動を開始しました。1989年には、延吉市政府と共同で延辺朝鮮族技術専門大学を設立するための合意が結ばれ、その後、本大学は1991年に吉林省政府の承認を経て延辺科学技術大学へと改称され、附属産業技術訓練学校を開校しました。

大学は設立から短期間で数多くの実績を上げ、2004年の時点では1279人の学生と174人の教員を擁していました。また、附属機関には幼稚園や外国人学校などもあり、地域の教育にも貢献しました。特に、韓国系の学生だけでなく、漢民族や朝鮮民族、そして北朝鮮出身の学生も多く在籍し、国際的な教育ネットワークが形成されました。

閉校への道

しかし、2018年から新入生の受け入れを停止し、2021年には2017年に入学した学生の卒業後、閉校となることが決まりました。運営資金や地域との契約問題が影響したとされ、契約延長が認められなかった理由は明確ではありません。大学関係者は、民族統合に対する懸念や、大学におけるキリスト教活動が問題視された可能性があると指摘しています。

創立者の金鎭慶

大学の創立者である金鎮慶博士は、韓国系アメリカ人として1950年代から教育界でのキャリアを積んできました。彼は、朝鮮民族への貢献のため、韓国を超えた協力関係を築くことを目指し、多くの努力を注ぎました。1998年には北朝鮮で逮捕されるなど、波乱に富んだ人生を送りましたが、その後も教育の場を提供し続けました。

歴史的出来事

延辺科学技術大学の歴史の中には、特筆すべき事件も存在します。1996年には、附属機関の院長が暗殺される事件が発生しました。この事件は、大学と関わる人々に大きな衝撃を与え、他の教職員や学生たちの安全への不安を引き起こしました。中国政府による調査が進められましたが、死因の特定には至りませんでした。

学術交流

また、本大学は韓国の主要な大学や国際的な機関との学術交流を行い、様々なプログラムを展開しました。これにより、国際的な視点からの教育が可能となり、学生たちの学びを豊かにすることができました。

結論

延辺科学技術大学は短い歴史にもかかわらず、多様な文化や民族が共生する教育の場として注目され、その後の教育機関への影響を与えました。国際的な交流に積極的に取り組んできたこともあり、今もなおその存在は多くの人々の記憶に残っています。大学の閉校は多くの学生や関係者にとって悲しい出来事でしたが、その果たしてきた役割は今後も語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索