建ぺい率

建ぺい率とは

建ぺい率（建蔽率）とは、建築基準法で定められた、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。具体的には、建物を真上から見たときの水平投影面積（建坪）が、敷地面積に対してどれくらいの割合を占めているかを示します。

建ぺい率の目的

建ぺい率の制限は、主に以下の2つの目的があります。

防火：建物が密集しすぎると、火災が発生した際に延焼しやすくなります。建ぺい率を制限することで、建物同士の間隔を確保し、火災の延焼を防ぐことができます。
住環境の保護：建物が密集しすぎると、日当たりや風通しが悪くなり、住環境が悪化します。建ぺい率を制限することで、良好な住環境を維持することができます。

建ぺい率の制限

都市計画法では、用途地域ごとに建ぺい率の上限が定められています。一般的には、30%から80%の範囲で設定されており、住居系地域では低く、商業系地域では高めに設定される傾向があります。

例えば、100坪の土地で建ぺい率が60%の地域の場合、最大60坪（100坪×60%）の建築面積の建物を建てることができます。

原則として、指定された建ぺい率を超える建築面積の建物を建てることはできません。

建ぺい率の例外・緩和措置

ただし、以下のような場合には、建ぺい率の制限が緩和されたり、適用されなかったりする例外規定があります。

防火地域内の耐火建築物：第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域、商業地域など、建ぺい率の上限が80%とされている地域で、防火地域内に耐火建築物を建てる場合には、建ぺい率の制限を受けません。これは、耐火建築物が火災に強く、延焼のリスクが低いと見なされるためです。
その他の建築物：巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊、公園、広場など、公共性の高い建築物や施設についても、建ぺい率の制限が適用されない場合があります。
角地緩和：特定行政庁が指定する角地の場合、建ぺい率が10%割増になります。防火地域内の耐火建築物の場合も同様に10%割増となり、両方の条件を満たす場合は20%の割増となります。これは、角地が開放的な空間を持ち、災害時にも避難しやすいと見なされるためです。
異なる建ぺい率の地域にまたがる場合：複数の建ぺい率が異なる地域にまたがって建物を建築する場合は、それぞれの地域の面積割合に応じて建ぺい率を平均して算出します。
防火地域と非防火地域にまたがる場合：防火地域と非防火地域にまたがって建物を建築する場合は、非防火地域の敷地も防火地域内とみなされます。これにより、建物全体で防火性能を確保する必要があります。

建ぺい率と他の指標

建ぺい率は、容積率と並んで、建築物の規模を制限する重要な指標です。

容積率：敷地面積に対する延床面積（建物の全ての階の床面積の合計）の割合を示します。建ぺい率が水平方向の広がりを制限するのに対し、容積率は垂直方向の広がりを制限するものです。

これらの指標を理解することで、土地にどのような建物を建てられるか、その規模や形状を把握することができます。

建ぺい率に関する注意点

建ぺい率は、土地の有効活用や、快適な住環境を維持する上で重要な要素です。土地を購入したり、建物を建てる際には、必ず建ぺい率を確認するようにしましょう。

また、建ぺい率の制限は、地域や建築物の種類によって細かく規定されています。専門家や行政機関に相談し、正確な情報を把握することが大切です。

関連情報

建築基準法
都市計画法
容積率
横浜スタジアム - 建ぺい率をクリアするため、無理のある設計をしている。

参考資料

建ぺい率 - 全日本不動産協会 埼玉県本部
建ぺい率と容積率について - 大阪府宅地建物取引業協会
* 「建蔽率（建ぺい率）」「容積率」とは？ - SUUMO

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