建寧 (漢)

建寧は、後漢の霊帝劉宏の治世において使用された最初の元号であり、168年から172年までの期間を指します。この時代は、後漢王朝の衰退が顕著になり始めた時期であり、政治的な混乱と権力闘争が激化しました。

霊帝の即位と竇太后の摂政

168年1月、霊帝劉宏が即位し、建寧と改元されました。しかし、霊帝は当時12歳の幼帝であったため、竇太后が引き続き朝政を執り行いました。竇太后の政治関与は、宦官の勢力拡大を招き、政治腐敗を深刻化させる一因となりました。

第二次党錮の禁

建寧2年（169年）、竇武と陳蕃らは、政治を壟断する宦官の排除を計画しましたが、事前に発覚し失敗に終わりました。この事件により、李膺ら100名以上が処刑され、600名から700名が禁錮に処されるという大弾圧（第二次党錮の禁）が起こりました。この事件は、後漢王朝の政治腐敗と社会不安を象徴する出来事として知られています。

元号の変更

建寧5年（172年）5月、建寧は熹平へと改元されました。この改元の背景には、政治的な状況の変化や、新たな時代への期待があったと考えられます。

建寧の時代：後漢王朝衰退の始まり

建寧の時代は、後漢王朝が衰退へと向かう転換期であったと言えるでしょう。幼帝の即位、外戚や宦官の権力争い、そして大規模な政治弾圧など、様々な要因が複合的に作用し、後漢王朝の国力を弱体化させました。この時期の混乱は、後の黄巾の乱や群雄割拠の時代へと繋がっていくことになります。

西暦・干支との対照表


参考文献

『後漢書』（中華書局 1974年）
『中国歴代年号考』李崇智（中華書局 2001年）

関連項目

建寧（曖昧さ回避）
元号一覧 (中国)

もう一度検索