新

新朝の成立と特徴

新朝（しん）は、中国の歴史の中で短い期間存在した王朝で、王莽が前漢最後の皇太子、孺子嬰から禅譲を受けて立てました。この王朝は、紀元8年から23年までのわずか15年間の命でした。国号の「新」は、王莽が成帝の時に新都侯に封じられたことに由来し、しばしば「莽新」とも呼ばれています。

政治と政策

新朝の王莽は、周の時代を理想として政策を進めましたが、その実現は現実の状況とは大きく乖離していました。このため、国内は次第に混乱を極めることになります。王莽は、政策の一環として古代の名称を模した地名や役職名の改名を頻繁に行い、また井田制を導入して小作農民のために土地を国有化しました。さらに、奴隷の売買を禁止し、高利貸しに対しては国が安価な金利での融資を行う政策を打ち出しました。しかし、これらの政策は地主や高利貸しからの強い反発を招きました。

貨幣制度においては、王莽は復古主義的な方法を採用し、五銖銭を廃止しました。代わりに、新たに金銀貨だけでなく、鍬の形をした布貨、貝貨、亀貨などを導入し、貨幣制度の煩雑化を招き、経済にさらに混乱をもたらしました。また、私的な銭の鋳造を許可した結果、経済秩序は崩壊寸前に追い込まれました。

財政面では、塩、鉄、そして酒の専売制を強化し、これにより民衆の負担が増加しました。地方の諸侯王は、王莽による冊封国の格下げに対して反発し、これが国家の統治をより困難にしました。

戦争と反乱

新朝の統治は、外部勢力に対しても高圧的な態度が見られ、これが匈奴や高句麗との対立を悪化させました。王莽はこれらに対し懲罰戦争を実施し、匈奴には30万人、南西の句町国には20万人もの兵を派遣しましたが、これらの戦争は多くの兵士が餓死や疫病によって命を落とす結果となりました。

最終的には、赤眉軍や緑林軍と呼ばれる反乱が起こり、これに対抗するため新朝は更始帝の軍を動員しました。ついには長安が占拠され、王莽は殺され、新朝は1代限りで滅亡を迎えました。この新朝の崩壊は、王莽の理想主義政策が現実に対する無理解から生じた悲劇的な結果と言えるでしょう。

官制と都城

新朝における官制は、王莽が中央官と地方官を整備し、前漢の都であった長安を引き続き首都として名を「常安」に改めました。こうした官制の整備も、最終的な国家の混乱を防ぐには至りませんでした。

新朝は短命に終わるも、その歴史的な意義は、中国の古代における理想と現実の乖離が引き起こす悲劇を示しています。

もう一度検索