建武式目

建武式目についての詳細な考察

建武式目（けんむしきもく）は、1336年11月7日、南北朝時代の建武3年に足利尊氏によって制定された法令で、室町幕府の政治方針を示す重要な文書です。この文書は、尊氏が自らの施政方針を定める目的で作成され、法学者である是円（中原章賢）や真恵兄弟を中心とした一群からの答申を基に、公布されました。また、御成敗式目とあわせて貞建の式条とも呼ばれています。

設立の背景

足利尊氏は鎌倉幕府が滅亡した後、後醍醐天皇の建武の新政から分かれる形で政権を掌握しました。彼は1336年に湊川の戦いで新田義貞や楠木正成を打ち破り、京都に入城します。これにより、足利家は新たな政権を確立し、その施政の指針として建武式目を制定しました。尊氏は後醍醐天皇から三種の神器を接収し、光明天皇を即位させた後、二年後の暦応元年（1338年）に征夷大将軍に任命され、正式に武家政権を樹立しました。

内容と構成

建武式目は二項17条から成り立っており、第1項では、政道の良し悪しが政者の資質に依存することを述べ、北条義時と北条泰時の施政を理想とし、足利幕府が本来の後継者であることを強調しています。第2項では、万人の苦しみを和らげることが政道において最も重要であるとされ、地方行政官の任命基準や、徳政令に関する多くの法令が提案されています。特に、南北朝時代の風潮であった「ばさら」を禁止することも含まれています。

この式目は武家の基本法である御成敗式目と異なり、正式な法令としての拘束力を持たないとの見解もありますが、時代の流れの中で重要な施政方針を示した文書であることは間違いありません。さらに、足利尊氏は政務を弟の足利直義に委ねており、彼の影響も考慮されています。これは、式目の内容に直義の意思が反映されている可能性があるからです。

影響と評価

建武式目は、鎌倉幕府の御成敗式目に並ぶ形で、以後の戦国大名の分国法にも大きな影響を与えました。この法令は、その後の日本の歴史における武家政権の形成に寄与し、政権運営の指針として広く参照されることとなります。特に、その後の時代においても、武士の政治における原則として位置付けられ、影響力を持ち続けることになります。

まとめ

建武式目は、武家政権の法体系において重要な役割を果たした文書であり、足利尊氏の施政方針を示すものでした。政道の理念や具体的な施策、さらには当時の社会的背景を反映した内容は、後の日本の歴史においても多くの示唆を与えています。このような背景を知ることで、建武式目の意義をより深く理解することができます。

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