建稲種命

建稲種命について

建稲種命（たけいなだねのみこと）は、古墳時代に活躍した尾張国造の豪族として知られています。『古事記』では彼は建伊那陀宿禰（たけいなだのすくね）という名でも登場し、尾張国の歴史や神話に深く関わっていました。彼の家系や神社に祭られた背景について詳しく探ってみましょう。

家族と系譜

建稲種命の父は、尾張国造の乎止与命であり、母は眞敷刀婢命（尾張大印岐の女）です。また、彼の妹には宮簀媛がいて、彼女は日本武尊の妃としても知られています。建稲種命は妃の玉姫（大荒田命の女）との間に二男四女をもうけ、その子孫たちも歴史に名を刻んでいます。

特に、彼の息子である尻綱根命は応神天皇の大臣を務め、その娘の志理都紀斗売は五百城入彦皇子の妃となり、さらに金田屋野姫命は品陀真若王の妃です。このように、彼の家族は日本の王族と密接に結びついており、応神天皇やその妃たちとの関係も深いと言えるでしょう。

軍事的功績

建稲種命は、景行天皇と成務天皇の時代に朝廷に仕えていました。特に、ヤマトタケルの東征においては副将軍として従軍し、数々の軍功を挙げたことで、その名を広めました。彼の戦歴は尾張国の歴史に大きな影響を与え、彼自身が英雄的存在として称えられることにつながりました。

祭られる神社

建稲種命は、日本各地の神社に祀られています。例えば、熱田神宮や内々神社、幡頭神社、羽豆神社などがあり、彼の霊を称える場所として重要です。特に、内々神社では、建稲種命が水軍を率いている際に水難事故に遭い、それに伴い彼の霊を祀ることになったとされています。当時の伝説によると、彼が捕まえようとした珍しい海鳥を捕まえようとした際、駿河の海に落ちて亡くなったとされています。この出来事を知ったヤマトタケルは悲しみ、彼の霊を弔うために祀ったとのことです。

幡頭神社は、三河湾に位置し、彼の有名な水難事故の舞台として知られています。この神社は、建稲種命の遺骸が流れ着いた地であり、村人たちによって葬られたと伝えられています。

待合浦の伝説

また、南知多町の羽豆神社近くには、建稲種命とその妻の玉姫が住んでいたとされる「待合浦」という場所があります。彼がヤマトタケルに従い東征に出掛ける際、妻の玉姫は夫の帰りをずっと待っていたという情緒あふれる伝説が残されており、この浦もその名の由来となっています。建稲種命は、羽豆岬を散策することが多かったとも言われ、その美しい景色と愛する家族に対する思いが伝わってきます。

このように、建稲種命は単なる古代の豪族にとどまらず、風光明媚な場所での愛情や英雄的行為を通じて、後世の人々に語り継がれる重要な存在であり続けています。

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