建設資源広域利用センター

株式会社建設資源広域利用センター（UCR）

株式会社建設資源広域利用センター（UCR）は、日本の建設部門における重要な課題の一つである、建設活動に伴って発生する土砂、すなわち建設発生土の有効活用とリサイクルを主たる事業目的とする企業体です。

この組織は、公共性の高い事業を担う組織として、国や地方公共団体をはじめとする公的機関が中心となって設立した第三セクターの形態をとっています。特に、首都圏における建設発生土のリサイクル体制を構築し、推進することを目指して、1991年6月に誕生しました。

設立の背景と経緯

UCRの設立は、増大する建設発生土の処分問題や、限られた国土における資源の有効利用といった、当時の社会的・環境的な課題への対応として位置づけられます。建設省（現在の国土交通省）の支援のもと、特に建設活動が活発な首都圏エリアの自治体が中心となり、共同で出資することで設立されました。

設立当初は、「株式会社首都圏建設資源高度化センター（ACR）」という名称で事業を開始しました。その後、1994年8月には、沿岸部など特定の地域や資源に焦点を当てた「株式会社沿岸環境開発資源利用センター（CENDRUC）」が設立されます。これらの組織がそれぞれ培ったノウハウと機能を統合し、より広範かつ効率的なリサイクル事業を展開するため、2002年4月に両社が合併。これにより、現在の「株式会社建設資源広域利用センター（UCR）」が正式に発足し、広域的な発生土利用システムの中核を担う存在として活動を開始しました。

事業目的と活動内容

UCRの主な活動は、国、地方公共団体、独立行政法人、特殊法人、国立大学法人、そして土地区画整理組合などが発注する公共工事を主体とした様々な建設現場から排出される建設発生土を受け入れ、これを適切に処理し、再生資源として供給することにあります。

建設発生土は、種類によっては盛土材や埋め立て材、あるいは道路や造成地の路盤材などとして再利用が可能です。UCRは、このような再生可能な発生土を選別、改良し、必要とする工事現場などへ供給することで、廃棄物の削減、最終処分場の延命、そして天然資源の消費抑制に貢献しています。これは、循環型社会の構築や環境負荷の低減という現代社会の重要な目標に資する事業です。

組織と出資者

UCRは第三セクターとして、幅広い主体からの支援を受けて運営されています。主要な株主としては、設立母体である首都圏の自治体が中心であり、中でも東京都は総出資比率の27.3%を占めています。この高い出資比率から、UCRは東京都の報告団体として位置づけられています。

東京都以外にも、埼玉県、神奈川県、横浜市、川崎市といった主要な地方公共団体が出資者に名を連ねています。さらに、社会インフラを支える大手企業である東京電力ホールディングス、東京ガス、NTT東日本のほか、日本の産業を代表する日本製鉄、そして主要な金融機関であるみずほ銀行、三井住友銀行なども株主として参画しています。

これらの多様な出資者の顔ぶれは、建設発生土のリサイクル事業が、自治体による都市整備、インフラ企業の設備投資、産業界の活動など、社会の様々な領域と密接に関連していることを示しています。公的部門と民間部門が連携することで、公共性の高いリサイクル事業を安定的に運営し、その効果を最大化することを目指しています。

UCRの存在は、特に建設活動が集中する大都市圏において、発生土の適正な処理と有効利用を推進する上で不可欠な役割を果たしており、今後の持続可能な社会づくりにおいて、その重要性はますます高まると考えられます。

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