建許呂命

建許呂命（たけころのみこと）とは

建許呂命は、古墳時代に活躍したとされる豪族です。複数の文献に名前が記されており、その表記にはいくつかのバリエーションが見られます。『新撰姓氏録』には建己呂命、建凝命、『常陸国風土記』には天津多祁許呂命や多祁許呂命、『先代旧事本紀』には建許侶命とあります。

概要

『姓氏録』によると、建許呂命は天津彦根命の14世または12世の子孫とされ、中央氏族である三枝部連、庵智造（いずれも大和国神別）、高市県主（和泉国神別）の祖とされています。また、地方においては、『常陸国風土記』に茨城国造（現在の茨城県中部にあたる地域の国造）の祖と記されており、神功皇后の朝廷に仕え、8人の子供がいたとされています。さらに、『旧事紀（国造本紀）』では、成務天皇の時代に初めて石城国造（現在の福島県いわき市にあたる地域）に任じられたとも記されています。

子孫

『国造本紀』には、建許呂命の子とされる人物が複数登場し、それぞれが各地の国造に任じられたとされています。成務天皇の時代には、以下の人物が国造に任じられました。

師長国造：意富鷲意彌命（現在の神奈川県西部）
須恵国造：大布日意彌命（現在の千葉県南西部）
馬来田国造：深川意彌命（現在の千葉県南西部）
石背国造：建彌依米命（現在の福島県岩瀬郡）

また、応神天皇の時代には、以下の人物が国造に任じられました。

茨城国造：筑波使主命
道口岐閇国造：宇佐比刀禰命（現在の茨城県北端）
道奥菊多国造：屋主刀禰命（現在の福島県いわき市）

さらに、周防国造として加米乃意美命（現在の山口県東部）が任じられたとされています。

これらの記述から、建許呂命が中央と地方の両方において重要な役割を果たし、その子孫が各地に広がったことがわかります。

参考文献

宝賀寿男『古代氏族系譜集成』中巻、古代氏族研究会、1986年

関連項目

飛鳥時代以前の人物一覧
国造

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