神別

神別（しんべつ）とは

神別とは、古代日本の氏族を分類する際の区分の一つで、皇別、諸蕃と並んで用いられました。この概念は、平安時代初期に編纂された『新撰姓氏録』にその詳細が記されています。

『新撰姓氏録』における神別の定義

『新撰姓氏録』では、氏族を大きく3つに分類しており、その一つが神別です。具体的には、天津神（あまつかみ）や国津神（くにつかみ）の子孫を指し、「天神地祇之冑、謂之神別」と定義されています。つまり、天上の神々である天津神と、国土の神々である国津神を祖先とする氏族が神別として分類されたのです。

神別の分類

さらに、『新撰姓氏録』では、神別を以下の3つのカテゴリーに細分化しています。

天孫（てんそん）: 天津神の子孫の中でも、特に天照大神（あまてらすおおみかみ）を祖とする氏族を指します。具体的には、皇室やその傍系の氏族が含まれます。
天神（てんじん）: 天津神を祖とする氏族で、天孫以外の氏族を指します。
地祇（ちぎ）: 国津神を祖とする氏族を指します。大国主命（おおくにぬしのみこと）や事代主命（ことしろぬしのみこと）などの子孫がこれに当たります。

『新撰姓氏録』によると、天孫は109氏、天神は265氏、地祇は30氏が記録されています。これらの数字から、神別氏族が古代日本社会において非常に重要な役割を担っていたことが窺えます。

律令制以前の姓との関連

神別の区分は、律令制以前の姓にも影響を与えていたと考えられています。特に、「臣（おみ）」と「連（むらじ）」という姓は、氏族の出自を示す重要な手がかりとなります。

臣: 主に皇別氏族に与えられた姓です。天皇や皇族と血縁関係にある氏族がこの姓を名乗りました。
連: 主に神別氏族に与えられた姓です。神々を祖先とする氏族がこの姓を名乗りました。

このように、姓の分布を分析することで、古代日本の氏族制度における神別の位置づけをより深く理解することができます。

まとめ

神別は、古代日本の氏族を理解する上で欠かせない概念です。『新撰姓氏録』における分類や、律令制以前の姓との関連を考察することで、古代社会における氏族の出自や役割をより深く理解することができるでしょう。

参考文献

阿部武彦「神別」（『国史大辞典 7』吉川弘文館、1986年）
* 菊地照夫「神別」（『日本古代史大辞典 旧石器時代～鎌倉幕府成立頃』大和書房、2006年）

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