建部大社

建部大社の概要

滋賀県大津市の神領に位置する建部大社（たけべたいしゃ）は、名神大社に指定されている由緒ある神社です。古くからの信仰の場として近江国一宮として崇敬されており、官幣大社に認定された歴史も持ちます。旧称は「建部神社」であり、2015年には「琵琶湖とその水辺景観－祈りと暮らしの水遺産」として日本遺産に認定されました。

祭神

建部大社の主祭神は日本武尊（やまとたけるのみこと）であり、彼の死後に妻である布多遅比売命が彼を祀ったことが神社の創建に繋がっています。本殿には日本武尊のほか、相殿神として天照皇大神（あまてらすすめおおかみ）と天明玉命（あめのあかるたまのみこと）が祀られ、権殿には大己貴命（おおなむちのみこと）が鎮座しています。

歴史

建部大社は、日本武尊を中心にした信仰が形成されたことが起源です。伝説によると、景行天皇46年に日本武尊の妃が神勅を受けて、彼を「建部大神」として祀ったことが始まりとされています。その後、675年に近江の守護神として現在の栗太郡勢多の地に遷座しました。権殿には、天平勝宝7年（755年）に大神神社から大己貴命が勧請され、祭祀が行われるようになりました。

平安時代中期には『延喜式』に名神大社として記録され、源頼朝が平治の乱での願いをかけて訪れたことから、出世開運の神としても知られるようになりました。また、1868年には県社に列格され、1871年には官幣中社に、1900年には官幣大社となり、1948年に神社本庁の別表神社に加わりました。

境内の構成

建部大社の境内には、本殿と権殿が並び、共用の拝殿が存在します。拝殿前には神木として有名な三本杉があり、この杉は一夜にして成長したと伝えられています。また、重要文化財に指定されている鎌倉時代の石燈籠もあり、文化的な宝物が点在しています。周辺には、摂社や末社が多く、神社の歴史を物語るような神聖な空間が広がっています。

摂末社

境内には、聖宮神社や大政所神社、藤宮神社などの摂社が存在し、それぞれが特定の祭神を祀っています。祭神たちの関係が示された図も存在し、信仰が広がった様子が伺えます。また、行事神社や弓取神社などの末社も設けられており、地域の信仰の中心としての役割を果たしています。

祭事

毎年8月17日には「船幸祭」が行われ、これは日本武尊の東征故事に基づいた伝統行事です。1.5トンの大神輿を御座船に乗せて瀬田川を下る様子は、多くの人々が訪れる見どころの一つです。この祭りは大津三大祭りの一つとして位置付けられ、地域の人々に深く愛されています。

アクセスと周辺

建部大社へは、京阪電気鉄道石山坂本線の唐橋前駅から徒歩15分、またはJR琵琶湖線の石山駅から約25分でアクセスできます。バス利用の場合は、近江鉄道バスの「神領建部大社前」停留所で下車することが便利です。また、名神高速道路の瀬田西ICからは5分と、非常にアクセスしやすい位置にあります。

このように、建部大社は歴史的な価値と信仰が融合した神社であり、訪れることで日本文化の深い理解を得られる場所です。

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