建部山城

建部山城の歴史と現状

建部山城（たけべやまじょう）は、舞鶴市下福井に位置し、丹後国加佐郡にかつて存在した重要な城です。この城は、室町時代から戦国時代にかけて、一色氏の主要な拠点として機能しました。城の立地は八田守護所の背後にあり、古くから戦略的に重要性が高いとされていました。

歴史的背景

建部山城は、南北朝時代の1336年に築城されたという伝承があります。当初は南朝に味方した地方豪族によって作られ、後に観応の擾乱の際に足利軍による北朝側の拠点となりました。足利氏の一門であった一色範光がこの地に入った後、丹後守護所を八田に構え、一色氏の居所として定めました。
続いて、八田守護館の裏手に建部山城が築かれ、戦時にはその防衛拠点としての役目を担いました。

室町幕府の重職に任命される一色氏当主が不在の際には、一門の家臣が留守を任され、重臣が補佐役を務める体制が整えられていました。
戦国時代に入っても一色氏はこの城を拠点として継続使用しましたが、1579年には織田信長の命を受けた武将の長岡藤孝が丹後を攻撃しました。一色軍は各地で長岡軍に敗北し、建部山城に籠城しましたが、長岡軍の力に屈し、城は崩壊しました。

この戦で、一色義道は近くの中山城に逃れましたが、その城主である中山幸兵衛の裏切りにより自害に追い込まれました。織田政権下では丹後が一色氏と長岡氏によって二分され、一色義道の子・義定が当主となりましたが、居城は弓木城に移されました。しかし、本能寺の変後の混乱の中で、義定は藤孝の居城である宮津城に誘い出され、謀殺される運命をたどりました。

豊臣秀吉による統治において、藤孝は宮津城を本拠地としつつ、平地にあった八田守護所を改修し、田辺城を築城しました。これにより、建部山城は廃城となる運命を迎えました。

現在の建部山

建部山には一部の城の遺構が残っています。城の位置する建部山は、舞鶴軍港を守る砲台が設けられたため、山頂が削られましたが、標高は315.5メートルを誇り、周囲の山々に比べてやや高く、「丹後富士」や「田辺富士」と称される美しい山容を保っています。

また、山頂からは舞鶴湾を一望できる絶景が広がっており、地域のハイキングスポットとして親しまれています。さらに、太平洋戦争後に役割を終えた砲台や弾薬庫も残存しており、訪問者は近代史をも探訪することができます。

このように、建部山城は歴史的な意義を持つだけでなく、自然の美しさも享受できる場所として多くの人々に愛されています。

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