一色範光

一色範光（いっしき のりみつ）

一色範光は、南北朝時代に活躍した武将であり、守護大名です。一色氏の5代当主として、その名を歴史に刻みました。

生涯

範光は肥前国守護を拝命し、父である一色範氏、そして兄である直氏と共に九州探題として、南朝方の勢力と長年にわたり対陣しました。しかし、幕府方の勢力をまとめきれず、苦戦を強いられ、ついには敗退を余儀なくされました。しかし、その能力は将軍足利義詮、義満に高く評価され、引き続き重用されることとなります。文和2年/正平8年（1353年）には、肥前国守護に任じられました。延文4年（1359年）の春頃には、菊池氏との戦いに敗れ、京都へ帰還しています。

貞治5年/正平21年（1366年）10月には、若狭国守護に任じられ、康暦元年（1379年）以前には三河国守護も兼任するようになります。範光は、妻の縁者であり、将軍家の直臣であった小笠原長房（幡豆小笠原氏とも、阿波小笠原氏とも言われています）を登用し、若狭守護代として派遣しました。しかし、若狭国の守護領の大部分（88％）を占め、同国最大の都市である小浜を含む税所今富名は、前守護であった斯波義種の時代に山名時氏に与えられており、若狭国の経営は非常に困難な状況でした。そのような状況下で、応安2年/正平24年（1369年）から応安4年/建徳2年（1371年）にかけて、一色氏の支配に強く抵抗してきた若狭の国人一揆と合戦を行い、ついにこれを鎮圧することに成功しました（応安の国人一揆）。この鎮圧により、若狭国における支配を確立し、四職の一角としての地位を確立し、一色氏の繁栄の基礎を築きました。

その一方で、貞治5年/正平21年（1366年）頃には、吉田神社の所有である若狭国の神領、並びに能登国の富来院を押領していたことが記録されています。吉田神社社務の吉田兼煕は、範光の下へ出向いて押領の停止を要請すると共に、今川貞世にその斡旋を依頼するなどしています。

貞治6年/正平22年（1367年）以降に出家し、信伝と号しました。

天授5年/康暦元年（1379年）2月には、斯波義将、富樫昌家、赤松義則らと共に、細川頼之討伐の軍を起こそうとしましたが、将軍足利義満の仲介により取り止めとなりました。

元中5年/嘉慶2年（1388年）1月に死去。享年64歳でした。

参考文献

小浜市史編纂委員会 編『小浜市史』《通史編 上巻》小浜市役所、1992年3月20日。
河村昭一『南北朝・室町期一色氏の権力構造』戎光祥出版、2016年。ISBN 978-4-86403-203-2。

外部リンク

* 『一色範光』 - コトバンク

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