弁官

弁官についての詳細解説

弁官（べんかん、辨官）とは、日本の古代において、朝廷の最高機関である太政官の様々な役職を指します。具体的には、左大弁（さだいべん）、右大弁（うだいべん）、左中弁（さちゅうべん）、右中弁（うちゅうべん）、左少弁（さしょうべん）、右少弁（うしょうべん）の総称であり、唐名である尚書（しょうしょ）に由来しています。一般には、これは四等官の一部として位置づけられていますが、別の説として弁官局全体を太政官の別組織と考える見解もあります。

また、『延喜式』においては、弁官が人事や財政、さらには給与支給手続きにおいて太政官とは独立した役割を果たしていたことが示されています。各弁官の地位は、大弁が従四位上、中弁が正五位上、少弁が正五位下相当とされ、彼らは官庁の監督に特化した役割を持ちました。これらの役職に就くことで、政治の中で重要な地位を確立した者も多く、弁官は単なる事務官ではなく、権力の象徴ともなりえたのです。

職掌と役割

弁官の主な職務は、各省とその傘下にある職掌の監督であり、庶事の受理や官内における糾弾決裁、起案文の署名、公務の遅延や過失の判断、さらには官庁の宿直業務や全国の国司の朝集に関する裁定を担当していました。内容としては非常に広範であり、その業務に関わる実行力が求められました。律令によれば、左弁官局は中務省や式部省などを、右弁官局は兵部省や刑部省などを担当することになっていましたが、実際には弁官局全体でこれらの省を統括していたようです。

定員と権官の配置

弁官には定員が設定されており、左右の大弁・中弁・少弁各1名、合計6名が基本でした。しかし、中弁や少弁には権官という役職の設置が認められ、最初は最大で2名までが権官として位置付けられ、「八弁」と呼ばれました。後に権官が1名に縮小され「七弁」とされることが一般的となりました。このような制度は平安時代中期に多く見られ、時代が進むにつれて、権官の地位や役割も変化していきました。

任官・昇進の過程

弁官は実務能力が高い者が求められ、任官後は昇進の機会が与えられます。一方で、昇進せずに弁官を離れることも多くありました。昇進の過程は標準的で、少弁から徐々に中弁、最終的には大弁にまで達する流れが一般的でした。権利的には少弁は五位であることが原則となっており、中弁への昇進も考慮されていました。特に左大弁・右大弁は、参議との兼任が一般的であり、高い地位に昇るための重要なステップとして機能していました。

弁官局と下位職掌

弁官の下には、左大史や右大史などの職掌が属し、これにより左右の弁官局が構成されています。これにより、実務的な運営が行われ、特に大少史が主要な役割を果たしました。弁官局の構成は重要で、職務の特徴から専門職として大少史の存在も強調されます。官務を世襲する小槻氏が代々左大史になった背景なども考慮する必要があります。

最後に、時代が進むにつれて弁官の役割や地位がどのように変化していったかを理解することは、当時の政治や官僚制度の変遷を理解する上で重要です。弁官は日本の古代政治において、重要な位置を占めていました。

もう一度検索