兵部省

兵部省について

兵部省（ひょうぶしょう）は、古代律令制下における八つの省の中で、特に軍事および防衛を担当する部門です。この機関は、内外の武官に関する人事やその考課、叙位および任官の管理を行い、各国の衛士と武器の管理など、広範な軍事関連の業務を担っていました。

職務の変遷と権限

律令制度のもとでは、兵部省は五司を管掌し、後に隼人司を含む一司がその職務を引き受けることとなります。しかしながら、鎌倉時代に入ると、実権は征夷大将軍に移行し、その結果、兵部省の職務は次第に限定されていきました。

職員の構成

兵部省のトップに位置する官職は兵部卿であり、その地位は正四位下に相当します。この職務には主に公卿が兼任することが一般的であり、皇族である親王が任命されることも少なくありませんでした。この場合、その名称は「兵部卿宮」として知られています。歴史的には、寛仁3年（1019年）に敦平親王が大宰帥に就任した以降、兵部卿が任命されるケースは減り、大治5年（1130年）には公卿がこの役職に就くこととなりました。また、14世紀には守良親王、邦省親王、煕明親王、邦世親王の四人の皇族が一時的に兵部卿に任命されていますが、その後は公卿の位置づけが定着しています。

武家出身者での例としては、戦国時代の大名・大内義隆が唯一兵部大輔から兵部卿にまで昇進したことがあげられます。兵部省内の役職には以下のように官位の階層が設定されています：

• - 兵部大輔（正五位下相当） - 各1名
• - 兵部少輔（従五位下相当） - 各1名
• - 兵部大丞（正六位下相当） - 1名
• - 兵部少丞（従六位上相当） - 2名
• - 兵部大録（正七位上相当） - 1名
• - 兵部少録（正八位上相当） - 3名

また、後には権官も設けられ、より多様な体制をもたらしました。

兵部省の組織構成

兵部省には多様な役割を持つ部門が存在しました。具体的には以下のような組織がありました：

• - 兵馬司（ひょうまし） - 後に左右馬寮に統合
• - 鼓吹司（くすいし） - 兵庫寮に統合
• - 造兵司（ぞうへいし） - 同じく兵庫寮に統合
• - 主鷹司（しゅようし） - 廃止
• - 主船司（しゅせんし） - 廃止
• - 隼人司（はやひとのつかさ） - 衛門府より移管

このように、兵部省は日本の古代官制において重要な位置を占めており、その構成や役割は時代の変遷とともに変化していきました。日本の官制や軍事制度における兵部省の歴史は、当時の社会状況や権力構造を反映する興味深いものです。

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