刑部省

刑部省について

刑部省（ぎょうぶしょう）、和名では「うたへただすつかさ」と呼ばれ、古代日本の律令制において存在した八省の一つです。また、明治時代には新たに設けられた省庁の一つでもあります。

律令制下の役割

古代日本では、律令制度の下で刑部省は司法全般を担当していました。この機関の主要な職務は、重大な犯罪事件に対する裁判を行うことや、監獄の管理、及び刑罰の執行でした。しかし、軽微な罪については、各官司が一定の裁判権を保有しており、平安時代に入ると検非違使が設置されることで刑部省の権限は次第に縮小されていきました。特に検非違使の権限が強化されると、刑部省の役割は形骸化していくことになります。刑部省の唐名としては「刑部」「秋官」「大理」といった名称が用いられ、官舎は皇嘉門内に位置していました。

職員構成

刑部省内には、様々な官職が設置されており、職員は四等官に分かれていました。ここでは、主な職員構成を紹介します。

• - 大輔（正五位下相当）：1名
• - 少輔（従五位下相当）：1名
• - 大丞（正六位下相当）：2名
• - 小丞（従六位上相当）：2名
• - 大録（正七位上相当）：2名
• - 少録（正八位上相当）：2名
• - 大判事（正五位下相当）および他の判事職（計数名）もおり、特に判事や解部は独立して職務を行っていました。

長官である刑部卿は正四位下に相当し、当時の有力な人物である平忠盛が任命されることもありましたが、通常は従三位以上の公卿がその地位を兼任していました。唐名では刑部尚書、秋官尚書、大理卿と呼ばれます。

刑部省の機関

刑部省には、以下のような官司が存在しました。

• - 囚獄司：監獄の管理を担当。
• - 贓贖司：所有物の没収を管理する役割を果たしていました。特に平城天皇時代に刑部省に吸収されました。

明治時代の変化

1869年に明治政府が発足すると、刑部省は新たに太政官に設置された省庁の一部として再編され、裁判や刑罰の執行、更には欧米法令の翻訳など広範な権限を付与されました。しかし、1871年には弾正台との統合によって司法省が設立され、刑部省は廃止されました。これは日本における司法制度の近代化を示す重要な出来事の一つとなりました。

結語

刑部省は古代日本における司法行政の中心的役割を果たし、その後の司法制度の基盤ともなりました。時代が移り変わる中で、その役割は変化し、最終的には近代日本の法制度へと発展していくことになります。

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