弄堂

衖堂（ロンタン）についての詳細

衖堂（ロンタン）は、上海の独特な集合住宅とそれに基づくコミュニティを指します。一般的には、都市の路地や街区に住む人々によって形成される共同体を指し、これらのコミュニティは「里弄」とも称されます。衖堂は上海特有の文化であり、その特色は多くの市民の生活に深く根付いています。

衖堂とは何か

衖堂を表す「弄堂」という言葉は、元々小さな路地や通路を意味しており、「里弄」は住宅や共同体全体を指す用語です。19世紀後半から20世紀前半までの上海では、多くの住宅がこの「里弄」スタイルを採用し、住民の生活様式を形成していました。これには、連なるテラスハウスや一戸建ての住宅、さらにはアパートメント形式の建物も含まれます。

住宅街の規模が大きい場合、「枝道（支弄）」と呼ばれる小道が存在し、これらの路地は主要な通りに接続されます。多くの衖堂には、地域を象徴する名称が与えられており、「平安里」や「興仁里」といった名前がその生活文化を反映しています。

歴史的背景

衖堂の由来は古代中国の「閭里」にさかのぼります。唐代には「里坊」として知られ、住居の区画単位として機能していました。北宋の時代になるとこの制度は発展し、坊と呼ばれるエリアとなります。この「里」と「弄」という二つの語が組み合わさり、衖堂としての名称が確立されました。

20世紀の初めまで、上海の住民の多くはこの衖堂で日常生活を営んでいました。このような環境から生まれた文化や習慣は、上海の海派文化の形成にも寄与しています。しかし、都市の再開発が進むにつれ、衖堂とそこに住む人々の文化は急速に変容し、なんとかその残滓が残る状況となっています。

武漢における類似の構造

上海のみならず、武漢市にも同様の「里弄」建築があります。この地域の衖堂式住宅が比較的よく保存されているのに対し、上海では再開発が進んでいるため、その文化は徐々に消えつつあります。

行政と社会構造

20世紀中葉、中国共産党が政権を握った後も衖堂の重要性は変わりませんでした。「里弄委員会」という自治機関が1950年代から1960年代にかけて街の生活における重要な役割を果たし、住民と上級行政機関の間の橋渡しを行っていました。このような制度は後に、「居委会」に発展し、現在も生活の一部として機能しています。

建築様式の変遷

伝統的な上海の里弄住宅にはいくつかの形式が存在します。主に、19世紀中頃に始まった木造のテラスハウスが存在し、これが後に石庫門という形式に進化しました。また、20世紀前半にはモダンなテラスハウスや独立型の住宅、さらには集合住宅の形式が登場しました。

このように、衖堂はただの住居区画にとどまらず、上海の歴史と文化を象徴する重要な存在であり続けてきました。しかし、都市の改変によってその姿を急速に失いつつあるのが現状です。現在では、かつてその名を馳せた衖堂の風景も減少し、その文化を守る活動が求められています。

もう一度検索