弋陽郡

弋陽郡（よくようぐん）

弋陽郡は、中国の三国時代から唐代にかけて存在した郡であり、現在の河南省南部に位置していました。その歴史は、魏、晋、南北朝、隋、唐と時代を跨ぎ、行政区分や所属州、管轄県も大きく変遷しました。

豫州弋陽郡

220年（魏の黄初元年）、汝南郡と江夏郡の一部を分割して弋陽郡が設置されました。当初、弋陽郡は豫州に属していました。晋代には、西陽、軑、蘄春、邾、西陵、期思、弋陽の7県を管轄していました。南北朝時代に入ると、南朝宋では南豫州に属し、期思、弋陽、安豊、楽安、茹由の5県を管轄しました。南朝斉では豫州に属し、期思、南新息、弋陽、上蔡、平輿の5県を管轄しましたが、495年には北魏に奪われました。

527年には南朝梁が奪還しましたが、549年には東魏の支配下に入りました。この時、弋陽郡は東豫州に属し、弋陽県1県のみを管轄する小規模な郡となりました。

光州弋陽郡

南朝梁の時代に光州が立てられると、弋陽郡は光州に属するようになりました。しかし、その後すぐに東魏に奪われ、北弋陽・南弋陽の2県を管轄しました。隋代に入ると、583年に郡制が廃止されたため、弋陽郡も廃止され光州に編入されました。しかし、607年に州が廃止され郡が置かれると、光州は弋陽郡と改称されました。この時、弋陽郡は光山、楽安、定城、殷城、固始、期思の6県を管轄する比較的大きな郡となりました。

唐代に入ると、620年に弋陽郡は光州と改められました。742年に再び光州が弋陽郡と改称されましたが、758年には再び光州に戻り、弋陽郡の名称は消滅しました。

南定州弋陽郡

南朝梁は、東魏の南定州に弋陽郡を僑置しました。この弋陽郡は、汝南、期思の2県を管轄しました。これは、華北を支配する北朝に対抗するための措置でした。

潁州弋陽郡

南朝梁はまた、潁州にも弋陽郡を僑置しました。これも同様に、北朝に対抗するための戦略的な措置と考えられます。

弋陽郡は、その成立から消滅までの約500年間にわたり、所属する州や管轄する県を頻繁に変え、その規模や重要性も大きく変動しました。この郡の歴史は、中国の南北朝時代から隋唐時代にかけての政治的、軍事的な変動を反映しています。

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