引き潮 (曲)

引き潮 (Ebb Tide)

「引き潮」は、1953年にアメリカのハープ奏者ロバート・マックスウェルによって作曲されたポピュラー音楽のスタンダード・ナンバーです。この曲の歌詞は、作詞家カール・シグマンによって後から追加されました。オルガン奏者ケネス・W・グリフィンがテレビドラマ「マッドメン」の第5シーズンのプレミアで演奏したことでも知られています。

録音と有名なバージョン

最も有名な録音は、フランク・チャックスフィールド・オーケストラが1953年に発表したもので、全米ヒットチャートでは最高2位を記録しました。このバージョンは、年間ヒットチャートでも第12位にランクインしました。さらに、ヴィック・ダモーン、ロイ・ハミルトン、フランク・シナトラ、プラターズ、レニー・ウェルチ、ライチャス・ブラザーズ等のアーティストによってもカバーされ、特にライチャス・ブラザーズのバージョンは全米ヒットチャートで最高5位を達成しました。この曲は、フィル・スペクターがライチャス・ブラザーズのために制作した最後の曲の一つとしても知られています。

ロイ・ハミルトンの録音の次にリリースされたこの曲は、彼のヒット曲「アンチェインド・メロディ」の後に位置づけられます。セルジオ・フランキも1964年に彼のアルバム「ウェブスター・ホール」でこの曲を取り上げ、彼の魅力的な声が印象的でした。また、1966年にはイタリアの人気歌手ミナが「Studio Uno 66」というアルバムに彼女のバージョンを収録しました。その他にも、ジェリー・コロンナ、アール・グラント、マット・モンロー、サント＆ジョニー、デル・サテン、ジョニー・マエストロなど、多くのアーティストがこの曲を録音しています。

インストゥルメンタルと映像作品への使用

1953年に制作されたフランク・チャックスフィールド・オーケストラのインストゥルメンタル版は、ムード音楽のスタンダードとして知られています。この曲はオーケストラ編成でも幅広く演奏され、特にその繊細なメロディが特徴です。

また、「引き潮」は映画やドラマでも頻繁に使用されており、フェデリコ・フェリーニの映画『道化師』のラストシーンではトランペット版が演奏されました。

様々なカバー

さらに、Erasureが2003年に発表したアルバム「Other People's Songs」ではこの曲をカバーしており、ボニー・プリンス・ビリーの2006年のアルバム「The Letting Go」には隠しトラックとして収録されています。これらの多彩なアプローチによって、「引き潮」は時代を超えて多くの人々に親しまれています。曲の持つ独特の雰囲気や感情は、今もなお数多くのミュージシャンにインスピレーションを与えています。

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