アンチェインド・メロディ

「アンチェインド・メロディ」（英語: Unchained Melody）は、1955年に発表された楽曲で、アレックス・ノースが作曲、ハイ・ザレットが作詞を手がけました。この曲は、その美しいメロディーと切ない歌詞で世界中の人々を魅了し、様々な言語で500を超えるバージョンが録音されるなど、20世紀で最も録音された楽曲の一つとして知られています。

概要

この曲は、もともと1955年の刑務所映画『アンチェインド』の主題歌として制作されました。トッド・ダンカンが歌うバージョンがサウンドトラックに収録され、レス・バクスターによるインストゥルメンタルバージョンは、ビルボードチャートで1位を獲得。アル・ヒブラー、ジミー・ヤング、ロイ・ハミルトンなど、数多くのアーティストによってカバーされ、それぞれのバージョンがチャートの上位を賑わせました。中でも、1965年にライチャス・ブラザーズが発表したバージョンは、20世紀後半のジュークボックスの定番となり、1990年の映画『ゴースト/ニューヨークの幻|ゴースト_ニューヨークの幻』の主題歌として再ヒットし、全英シングルチャートで1位を記録するリバイバルヒットとなりました。2012年には、音楽著作権で最も稼いだ楽曲の第5位に選ばれるなど、その人気は衰えることを知りません。

オリジナル

1955年、アレックス・ノースと作詞家のハイ・ザレットは、刑務所映画『アンチェインド』の主題歌として「アンチェインド・メロディ」を制作しました。歌詞には、「Unchained（＝解放される）」という言葉は登場せず、会えない恋人への切ない愛が綴られています。この映画は、刑務所から脱走して妻や家族のもとへ帰りたいと願う男の物語であり、楽曲は、その心情を美しく表現しています。
トッド・ダンカンのボーカルバージョンは、1955年のアカデミー歌曲賞にノミネートされましたが、受賞は「慕情」に譲りました。

初期のバージョン

映画のサウンドトラックでトッド・ダンカンが歌った後、レス・バクスターによるインストゥルメンタルバージョンが1位を獲得。その後、アル・ヒブラー、ジミー・ヤング、ロイ・ハミルトンなど、様々なアーティストがカバーを発表しました。ジューン・ヴァリのバージョンは29位を記録し、ジーン・ヴィンセント＆ヒズ・ブルー・キャップスは、トレモロギターを特徴とするミディアムテンポの挑戦的なカバーを発表しました。1956年のアカデミー賞ではハリー・ベラフォンテがこの曲を演奏しました。1963年には、ヴィト＆サルテーションズによるアップテンポのドゥーワップバージョンがチャートを賑わせ、映画『グッドフェローズ』にも使用されました。ペリー・コモ、クリフ・タウンセンドなども、初期にこの曲をカバーしています。

1965年には、フィル・スペクターがプロデュースしたライチャス・ブラザーズのバージョンが発表されました。実際にはボビー・ハットフィールドのソロだったこのバージョンは、後にハットフィールド自身もソロ名義でカバーしています。ライチャス・ブラザーズのバージョンは、4位まで順位を上げました。

その他のバージョン

数多くのアーティストが「アンチェインド・メロディ」をカバーしており、そのバリエーションは多岐にわたります。リッキー・ネルソン、ジゼル・マッケンジー、ハリー・ベラフォンテ、サム・クック、レターメン、ボビー・ヴィントン、ジーン・ピットニー、スプリームス、ロイ・オービソン、モコ・ビーバー・オリーブ、尾崎紀世彦、エルヴィス・プレスリー、ハート、レオ・セイヤー、U2、田原俊彦、ロブソン・グリーンとジェローム・フリン、サラ・マクラクラン、ジョー・リン・ターナー、シンディ・ローパー、バリー・マニロウ、デヴィッド・フェルプス、スマッシング・パンプキンズ、ディアハンターのブラッドフォード・コックス、ジョニー・マエストロ＆ブルックリン・ブリッジ、ギャラス・ゲイツ、クレイ・エイケン、アミーチ・フォーエヴァー、ジョニ・ミッチェル、コンスタンティン・マルーリス、平井堅、島津亜矢など、ジャンルや世代を超えたアーティストがこの曲を歌い継いでいます。

エルヴィス・プレスリーは、亡くなる6週間前の最後のテレビ出演でこの曲をピアノを弾きながら歌い、そのバージョンが死後シングルとして発売されました。ロックバンドのハートは、1981年にライブバージョンを披露し、レオ・セイヤーは1986年にウォール・オブ・サウンドを現代風にアレンジしたバージョンをリリースしました。U2は1989年にシングルのB面に収録し、ライブでも頻繁に演奏しています。1995年には、ロブソン・グリーンとジェローム・フリンのバージョンがイギリスで1位を獲得し、7週連続でその順位を維持しました。

カントリーミュージック界でも、ジョー・スタンプリー、エルヴィス・プレスリー、ロニー・マクドウェル、リアン・ライムスなどが、この曲をカバーし、ホットカントリーソングチャートにランクインしています。

テレビショーでの人気

この曲は、テレビ番組の歌のコンテストの参加者に人気があり、「ポップアイドル」「アメリカン・アイドル」「Xファクター」などのオーディション番組で、数多くの挑戦者たちがこの曲を歌い、サイモン・コーウェルもこの曲を好んでいると公言しています。ギャラス・ゲイツは、「ポップアイドル」で準優勝した後にこの曲をリリースし、1位を獲得しました。

メディアでの使用

「アンチェインド・メロディ」は、映画、テレビ、コマーシャルなど、様々なメディアで使用され続けています。1990年の映画『ゴースト/ニューヨークの幻|ゴースト_ニューヨークの幻』で使用されたライチャス・ブラザーズのバージョンは、再びチャートインし、アメリカのアダルト・コンテンポラリー・チャートで2週間1位を記録し、イギリスでは1990年に最も売れたシングルとなりました。日本では、オリコン洋楽シングルチャートで11週1位を獲得しました。また、映画『裸の銃を持つ男 2 1/2』では、『ゴースト/ニューヨークの幻|ゴースト_ニューヨークの幻』のパロディシーンで使用されるなど、この曲の人気は衰えることを知りません。

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