引付衆

引付衆について

引付衆（ひきつけしゅう）は、1249年に鎌倉幕府が設立した職名で、裁判の公正性と迅速性を確保するために存在しました。この制度は、執権北条時頼の時代に、評定衆の下に御家人の土地に関する訴訟を扱うために導入されました。具体的には、正確な裁判を行うために、訴状を審査・整理し、原告と被告の論争を円滑に進める役割を果たしました。

引付衆は、頭人、引付衆、引付奉行から構成され、初期には有力な御家人が任命されたものの、次第に北条氏の若年者に占められるようになりました。この職務は、評定衆に昇進するためのステップともなり、徐々に実際の訴訟審理の役割は薄れることとなりました。例えば、1266年に一度引付衆は廃止されましたが、約3年後に必要性から再導入されました。この際、定員も3人から5人へと増加し、北条時宗の意向が色濃く反映された制度の復活でした。

その後も引付衆は、北条貞時の幕政改革の一環として、一時的に廃止されたことがありました。この時には、執奏という別の役職が代理として設置されましたが、これは短期間であり、すぐに引付衆は復活しました。こうした流れは、引付衆の役割が常に重要視されていたことを示しています。

裁判の進行は、まず原告が訴状を問注所に提出し、その合法性が審査されます。次に、その訴状は引付奉行に回送され、原告と被告の間で三度の陳状・訴状のやり取りが行われます。このプロセスは「三問三答」と呼ばれ、訴訟の整理を整えた後、引付の呼び出しで原告と被告が出廷し、口頭弁論が行われます。この結果を基に引付で判決の原案が作成され、最終的には評定によって裁定が下されます。

引付衆の就任者については、『関東評定伝』に記録があり、1249年から1284年までの間の任命者が確認できます。例えば、初代には北条資時、続いて北条政村、二階堂行綱などが名を連ねています。時代が進むにつれて、多くの北条氏の家名が見られ、政治的な権力に強く結びついていました。特に、引付衆の再任者が多かったことも、彼らの役割の重要性と、政治的な影響力との関連を示しています。

このように引付衆は、鎌倉幕府における裁判制度の一端を担い、司法の公正と迅速さを保つ役割を果たしました。これにより、訴訟の過程がスムーズになり、将来的にはより効率的な裁判制度の基礎ともなったのではないでしょうか。

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