引越し夫婦

引越し夫婦について

『引越し夫婦』は1928年9月28日に公開された日本のモノクロサイレント映画で、監督は巨匠小津安二郎が務めました。この映画は松竹キネマが製作・配給を手掛け、わずか40分の短編作品です。原案は、五所平之助、野田高梧、大久保忠素、斎藤寅次郎の4人による合同ペンネーム「菊池一平」によるものです。作品自体は現在、脚本やネガ原版、上映用プリントが残っておらず、貴重な作品として評価されています。

あらすじ

物語は、ある家具屋の集金人が夫婦の住まいを訪れるところから始まります。しかし、訪れた際には既にこの夫婦が引っ越しを済ませてしまっていることが判明します。集金人は二人の新しい住まいを探し当てますが、妻は請求された金額の一部しか支払おうとしません。一方、夫は薬屋で店番をしている娘の仕事を手伝っています。その様子を見た妻は不満を抱き、激しい喧嘩に発展することになります。

この争いを受けて、夫婦は再び引越しを決意しますが、ふたりは薬屋の娘と家主の息子が婚約していることを知り、少し安心します。結局、夫婦はその家に残ることを選びます。このように、物語は皮肉やユーモアを交えながら、夫婦の引越しを題材にした日常の一コマを描写しています。

スタッフ

この作品の監督を務めた小津安二郎は、日本映画界において非常に重要な位置を占める監督であり、後に多くの名作を生み出しました。脚本や潤色は伏見晁が手掛け、撮影は茂原英雄が担当しました。これらのスタッフの協力によって、短編ながらも印象に残る作品となっています。

キャスト

• - 藤岡英吉（渡辺篤）
• - その妻千代子（吉川満子）
• - 家主甚兵衛（大国一郎）
• - その息子清一（中浜一三）
• - 薬屋の娘春子（浪花友子）
• - 集金員服部（大山健二）

まとめ

『引越し夫婦』は、引越しをテーマにした短編喜劇として、日本の初期映画の中で重要な位置を占めています。夫婦の微妙な関係や生活の一コマを通して、言葉の壁を越えた普遍的なテーマに挑戦している作品です。

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