五所平之助

五所平之助の生涯と業績

五所平之助（ごしょ へいのすけ、1902年1月24日または2月1日 - 1981年5月1日）は、日本映画界に多大な影響を与えた監督であり、脚本家、さらに俳人としても知られています。本名は五所平右衛門（ごしょ へいえもん）、俳号は五所亭です。特に日本初の国産トーキー映画『マダムと女房』の監督として名を馳せました。

生い立ちと初期の経歴

五所は東京市神田区鍋町に生まれ、父は乾物商を営む平助でした。彼は母の元を離れ、父の後継ぎとして育てられました。青年期には慶應義塾商工学校に入学し、そこで俳句に深い興味を持つようになります。1921年には歩兵第1連隊に入隊しましたが、すぐに見習士官として予備となりました。

1923年、同校を卒業し松竹蒲田撮影所に入社、島津保次郎の指導のもと、助監督としての経験を積みます。そして、1925年に発表した『南島の春』で監督デビューを果たしました。当時の彼は、ユーモアを取り入れた小市民の生活を描く作品を次々と発表し、映画監督としての名声を高めていきました。

主な作品と活動

五所の作品の中でも特に有名なのが1931年に公開された『マダムと女房』です。この映画は日本初のオールトーキー映画として評価され、彼の監督デビューの集大成とも言えるものでした。これ以後も五所は、多くの名作を手掛け、『生きとし生けるもの』では社会派の視点を強調しました。田中絹代を何度も起用しながら、様々な作品を発表し続けました。

戦後も松竹に復帰し、恋愛映画などを制作していましたが、1950年代には東宝争議に巻き込まれることとなります。この際、組合側に立ち、撮影所で立てこもる一幕もありました。しかし、この争議の影響で東宝を去り、1951年には独立プロ・スタジオ8を結成、数多くの作品を発表します。

監督としてのスタイルと影響

五所は、彼自身のスタイルを確立する過程で、常に市民の視点から物語を描き続けました。彼の作品は、庶民の日常を生き生きと描写し、その中に潜む心の動きや葛藤を鮮明に表現することで、多くの観客の共感を呼び起こしました。また、1964年からは日本映画監督協会の理事長を務め、映画界の発展にも寄与しました。

1940年代後半から1950年代にかけての作品は、特に製作環境が厳しい中でもどうにかして前進しようとする熱意が表れています。『煙突の見える場所』はベルリン国際[[映画祭]]で国際平和賞を受賞し、その評価を高めるきっかけとなりました。

側面と受賞歴

俳人としても活動し、俳号「五所亭」として俳句を発表。代表作には「生きることは一筋がよし寒椿」などがあり、著作もいくつか残しました。1972年には勲四等旭日小綬章を受章し、映画界においても高く評価されました。

1981年5月1日、享年79で亡くなりました。彼の墓所は港区の澄泉寺にあり、松尾芭蕉の『奥の細道』の映画化が彼の晩年の夢であったとも言われています。日本映画界に多大な影響を与えた偉大な監督として、五所平之助の名前は今でも多くの人々に語り継がれています。

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