弘前学院短期大学

歴史ある学舎の変遷

弘前学院短期大学は、青森県弘前市にその学舎を構えていた私立の短期大学です。学校法人弘前学院によって運営され、「弘短（ひろたん）」の略称で親しまれました。1950年に日本で最初に短期大学として認可された149校の一つとして産声を上げましたが、設置からちょうど50年後の2000年にその歴史に幕を下ろしました。青森県内で初めて廃止された短期大学でもあります。

この短期大学の起源はさらに古く、明治時代の1886年にさかのぼります。メソジスト教会の初代監督であり、青山学院の二代学院長も務めた本多庸一によって、弘前教会内に創設された女子普通教育のための学校がそのルーツです。この創設以来、キリスト教の精神を基盤とした女性教育がこの地で受け継がれてきました。

短期大学として開学当初は、英文学科のみの単科構成でした。しかし、時代のニーズに応じて学科の拡充が図られ、家政科（後の生活福祉学科）、国文科が増設され、最大で三つの学科を持つ体制となりました。また、さらに専門的な学びを深めるための専攻科（食物専攻、家政専攻、国文専攻、英文専攻）も設置されました。

しかし、社会情勢や教育環境の変化に伴い、学科の再編が進みます。1970年には英文科と国文科の学生募集が停止され、1972年には両学科および関連する専攻科が正式に廃止されました。その後は家政科が中心となりますが、1988年には家政科が生活福祉学科へと改組され、短期大学は最終的に生活福祉学科のみを擁する単科体制となりました。

新しい生活福祉学科も、残念ながら長くは続きませんでした。1998年度の入学生を最後に学生募集を停止し、在学生が卒業を迎えた後の2000年 10月26日をもって、弘前学院短期大学は正式に廃止されることになりました。

教育の特徴と提供された学び

弘前学院短期大学の教育は、その創立の精神を受け継ぎ、キリスト教の教えに基づいたものでした。カリキュラムにはキリスト教関連科目が必修として組み込まれており、建学の精神が教育活動の根幹にありました。キャンパスには、地域のシンボルである岩木山をモチーフにしたカレッジマークが掲げられていました。

かつて設けられていた学科では、それぞれ特色ある教育が行われていました。英文科では英語に関する深い知識と実践的なコミュニケーション能力、国文科では日本語や日本文学、文化への理解を深める学びが提供されました。家政科から改組された生活福祉学科では、家庭生活や地域社会における福祉に関する専門知識や技術の習得を目指しました。これらの学科からは、中学校教諭二級免許状（家庭、保健、英語、国語）や司書教諭免許状など、多様な資格取得の道が開かれていました。特に、英文科ではかつて高等学校教諭（英語）の免許課程も併設されていました。

短期大学では教育研究活動も行われ、その成果として『生活福祉論集』や『紀要』といった研究紀要が刊行されていました。

関係者と周辺環境

弘前学院短期大学には、多くの教育者や関係者が携わりました。歴代学長としては小田信士氏、田沢吉郎氏、斎藤武雄氏、豊島秀範氏らがその任にあたりました。また、有名な教職員として佐藤初女氏の名前も特筆されます。

学校法人弘前学院は、弘前学院短期大学の他にも弘前学院大学や弘前学院聖愛中学高等学校を運営しており、短期大学はこれらの系列校との連携を有していました。特に、同じ法人内の弘前学院大学へは、短期大学から編入学する制度が設けられており、卒業後の進路の一つとして位置づけられていました。

終わりに

約半世紀にわたり、弘前において女子教育、そして変化する社会に対応した専門教育を提供してきた弘前学院短期大学。国内短期大学制度の黎明期からその役割を担い、多くの卒業生を社会に送り出してきましたが、2000年の廃止によりその歴史に幕を閉じました。しかし、その教育精神と果たした役割は、地域社会に確かに刻まれています。

もう一度検索