弥生 (睦月型駆逐艦)

日本海軍の駆逐艦「彌生（弥生）」

「彌生」（やよい/やよひ）は大正から昭和にかけて活躍した、日本海軍の駆逐艦です。彼女は睦月型駆逐艦の3番艦であり、艦名は旧暦における3月に由来しています。この艦名は、初代神風型駆逐艦の名「弥生」を踏襲しており、日本海軍の正式な登録名では「彌生」とされていますが、一般的には「弥生」と表記されます。

建造の経緯

彌生は1923年度の計画艦で、同年7月19日に浦賀造船所で建造が正式に決定しました。1924年1月11日に起工され、1925年7月11日に進水、1926年8月28日に竣工しました。竣工後、佐世保鎮守府に属し、1928年に「第二十三号駆逐艦」から「彌生」に艦名が変更されました。

戦歴の概要

彌生は日本の大正と昭和の歴史において数々の任務を遂行しました。1930年には、昭和天皇が乗艦する戦艦「霧島」への供奉艦として、他の駆逐艦とともに横須賀へ向かう途中に任務を担いました。また、1937年からは中支や南支方面での行動が見られ、仏印進駐作戦にも参加しました。これにより、彼女の艦歴は次第に太平洋戦争へと繋がりました。

太平洋戦争の緒戦

太平洋戦争が開戦した際、彌生は第四艦隊と第六水雷戦隊に所属していました。開戦初期の12月には、駆逐艦「如月」が敵機襲撃で沈没し、彌生は姉妹艦と共に戦況の変化に直面しました。その後、ウェーク島攻略作戦に参加し、様々な艦艇と連携しつつ海上護衛作戦などを遂行しました。

ガダルカナル島の戦闘

1942年8月7日、アメリカ軍のウォッチタワー作戦によりガダルカナル島への上陸作戦が行われ、彌生は第30駆逐隊の一員としてその過程に関与しました。特に8月24日には、これまでの艦砲射撃による攻撃方法を駆使し、ガダルカナルに艦砲射撃を行った際に重要な役割を果たしました。しかし、同時に他の駆逐艦と共にアメリカ軍の攻撃を受け、大きな損害を被ることとなりました。

ラビの戦いと最期

1942年8月に行われたラビの戦いでは、彌生は増援部隊のために出撃しましたが、ここでも彼女は厳しい戦況に遭遇します。9月11日、アメリカ軍の航空機による攻撃を受けて沈没する運命を辿りました。艦長が牽引した彌生は多くの生存者を乗せつつも、戦いの前線から退却し、結果的に多くの乗組員が行方不明となりました。その時、艦長以下の生存者たちはカッターボートでノーマンビー島に上陸し、苦境を乗り越えようとしましたが、最終的な救出がなされることはありませんでした。

彌生の最後は、艦艇の宿命を考える上で艦長や乗組員の勇気や献身が光った瞬間とも言えます。1942年10月20日、彌生は正式に艦籍から除籍されました。彼女の艦歴は日本海軍の衝撃的な激闘の一端を今に伝えています。

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